玄文社主人の書斎

玄文社主人日々の雑感もしくは読後ノート

菅創吉の世界展

2006年09月28日 | 日記
 長野県北御牧村といえば、故水上勉の工房「勘六山房」のある所として名高いが、東部町との合併で、東御市などという訳の分からぬ地名に変わってしまった。東御市は上田市の東隣りに位置し、柏崎から高速を走って二時間ちょっとのところにある。
 「勘六山房」を訪れるためではなく「梅野記念絵画館」という、あまり知られていない美術館に、菅創吉という、これもあまり知られていない画家の作品を見に行ったのだった。市内新道出身で、元NHK美術カメラマンの高橋章さんの御教示による。
 「梅野記念絵画館」は、北御牧村時代に村立の美術館としてつくられたもので、「芸術むら公園」の一角にある。公園は明神池を中心に、温泉施設やパターゴルフ場、登り窯や竹紙工房などがあり、浅間山を東に望む風光明媚な立地で、市民憩いの公園となっているようだ。
 広大な敷地と施設を見て「これを維持していくのは大変だろうな。大きな財政負担となっているに違いない」などと、下世話なことを考えてしまった。それよりも、「梅野記念絵画館」へと気がせいた。菅創吉展のポスター等で、その作品の一端に触れ、心躍るものがあったからだ。
 エントランスホールに大きな作品が三点。近づいて細部を見る前に、遠くから一瞥しただけでまいってしまった。その構図の完璧さに打たれたからだ。高橋さんの知人である、銀座「すどう美術館」の須藤一郎さんは、菅創吉との出会いで人生を狂わせた人だという。サラリーマン時代に菅創吉展を見、どうしても作品が欲しくなり、買い集めて自宅を美術館にしてしまった。それでも足りずに、銀座にギャラリーを開いたという。
 来月、高橋さんの紹介で、「すどう美術館」をお訪ねすることにした。もう一カ所、菅創吉の作品のほとんどを収蔵する富山県南砺市の「福野文化創造センター」も訪れないわけにはいかない。
 菅創吉の作品について詳しく紹介したい気持ちを抑えられないが、その後にすることにしよう。

越後タイムス9月22日「週末点描」より)


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