春日部の観音院、円空と芭蕉の小渕山観音院で気持ちのいい一日(2014.3.1)

2014-03-01 17:25:38 | Weblog


小渕の観音院は、円空仏の宝庫です。といっても7体あるだけですが、いや、7体もあるのです。日本でただひとつの蔵王権現像があります。180,190センチといった観音様があります。彫りあげるには何日も逗留が必要でしょう。
昨日(2月28日)、春のように暖かい日に“おまいり”に行きました。正確には、新しい住職さんと話にいったのです。


 山門、楼門、仁王門は、1689年(元禄2年)の建立です。325年前です。さすがに痛みが激しく、仁王さんも痛々しい・・・ですが、それが、余計に仁王様の恐ろしい形相になります。3年前の東北大地震の影響をうけました。そして、この2月から修復工事が始まったのです。

*住職さんと話しながら、本堂を案内してもらいます。開基は、鎌倉時代中期(1258年=正嘉2年)です。本尊の観世音菩薩は、古利根川大洪水で小渕に流れ着いたといいます。
 60年毎の本尊衣替え行事、8月10日の<四万六千日>の賑わいのお話を聞きます。

*彫り物や絵馬をみて、ゆっくりまわります。奉納された絵は、ほとんど消えています。栗原伝三郎の和算額も全く読めません。
 本堂天井の、<格天井(ごうてんじょう)>の花の絵も、奉納した粕壁宿の商人の名前も、消えかかっています。一度、しんけんに見て、記録しなければいけないなあ、と思ったりします。

*びんずる様です。痛い所、不調の所を撫でるといいのです。同行の知人は、思い思いに撫でていました。こぶとり観音といわれてきたようです。

 小渕の観音院は、芭蕉の<奥の細道>の旅の第一日目に泊まったところと伝わっている所でもありです。
 もっとも、芭蕉は、奥の細道には<早加>、草加と書いているのですが、随行の曽良が、<カスカベ>と書いています。江戸(千住)を発って、草加なのか、春日部までか?翌日は、間々田(小山市)で泊まっていているから、草加からなら遠すぎます。・・・で、春日部が正しい、でしょう、世間も本当は春日部泊まりとしています。
 では、春日部=粕壁のどこか。粕壁宿の入り口の東陽寺(禅宗寺院)か、粕壁宿を出てすぐの小渕村の観音院(修験寺院)なのか。

ワタシは、観音院に一票です。
・・・・芭蕉は、<その日やうやう早加にたどり着きたり>・・・荷物が重かったと書いています。やっとたどり着いたのでしょう。なぜ、草加と間違って書いたのでしょう。粕壁宿を過ぎて、小渕村は<名もなき村>だったのではないか・・と。
 別のこと、・・・禅寺、修験寺院のどちらに泊まったでしょう。
 芭蕉一門、蕉門下生のゆかりの所に泊まった、というのが、<いいね>なのです。

*観音院には、芭蕉の句碑があります。かろうじて<ものいえば 唇さむし 秋の風>と読めます。葛飾蕉門下の不干(ふかん;江戸時代後期の人)が、建てたようです。不干は、隣村の内牧村(現春日部市)の、修験・南蔵院の住職さんです。

 奥の細道、芭蕉が旅立ったのは、元禄2年3月27日(旧暦)です。新暦では1689年5月16日です。
 観音院の山門が建立されたのも、同じ年、元禄2年です。
 その頃、この地域に、観音院に、修験者・円空が逗留していました。

 芭蕉と円空は、この地、観音院で、遭遇していたのではないか、という話があるのです。
 古くからの言い伝えではありません。

 森 敦著<われもまた おくのほそ道>(昭和63年8月1日 日本放送出版協会発行で、ワタシ自身が見つけたのです。
 NHKテレビ番組「森敦 おくのほそ道行」の取材記です。番組には、<春日部で円空と芭蕉の遭遇>の話はなかったのでしょう。
 奥の細道の取材は、昭和58年春。森敦さん71歳です。


 もちろん、証拠もありません。同じ頃に同じエリアにいたというだけのことです。ちょっと<いいね>のお話です。仮に、芭蕉が、観音院に泊まってないくても、日光街道筋にある観音院には、間違いなく立ち寄ったでしょう。
 円空と合ったかも知れません。
・・・・・・と、このあたりまでは、以前に、ブログに書いています。
 ここです → http://blog.goo.ne.jp/geibunkyou/d/20130404

 驚いたのは、これから・・・・です。
 一緒にいった、知人が、<森敦さんの句碑があるよ>・・・・と叫んだのです。
 まさに<・・・うそ~っ!!・・・>でした。
 句は、読めません。最後は確かに<敦>でした。
 そして、裏側に、NHKの取材記でのことが書いてありました。住職・尾花重郎さんが建立されたようです。

*森敦の句碑。次に出かけるときに、しっかり読んできます。

 【おまけ】
*お相手していただいた住職さんが、円空特集の雑誌<美術手帳>を見せてくれながら、そこに執筆されている、みうらじゅんさんに、春日部に来てもらって、円空仏のお話をしてもらったら、どうでしょうね・・・と。
*その日は、ワタシらがやってる市民サロン<ウィークエンドブランチ>の4月6日のゲストに、観音院の新住職さんをお願いにいって、承諾をもらっていたのです。・・・・・年末の<ウィークエンドブランチ>には、そうできると、いいなということになりました。突然、企画会議になったのです。むろん観音院の円空仏7体にもお出まし願って・・・ですね。
*<マイ・ブーム>の みうらじゅんさんは、ワタシにとっては、仏像オタクさんというより、ボブ・ディランおたくさんです。ボブ・ディランの話がしたいなあ・・・と、小声で発言しました。


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