ぼくのおじさんは、港の医者(片山碩夫さん)だった(2015.1.27)

2015-01-27 12:18:14 | Weblog

*おじさんの著書<港の医者>昭和33年6月平凡社発行。

お正月すぎて、またひとつトシをとった。家人の<だんしゃり>は過激さを増しています。ずっと捨てずにいた<古い>年賀状を、どこからともなくひっぱり出してきて、ゴミ箱にほり込んで行きます。ワタシは、それを拾い出して読みふけったり、です。

ワタシが、まだまだ若かった頃に、母の弟=おじさんからもらった賀状を再読、またまた捨てられません。
*おじさんからの古い年賀状。若かったワタシは、これをどう読んだのだろう。

昭和50年(1975)の賀状
 <僕は今、人生において病気とは果たして何だろうかと考えています。それが、マイナスの要因か、それともプラスか。他人に代ってもらうことが出来ない、そして何とか、その苦痛を克服した時に人間的に成長していないだろうか。
 東京には百の顔があると聞いています。おまけに新聞記者とはうってつけです。経済的に苦しんでいる人達を回って下さい (そこには、真剣で、善良で、そして平和な人たちがいるんじゃないでせうか。--そして私が探しているのが、この三つです)・・・・・(以下略)>

昭和54年(1979)の賀状
 <・・(略)・・・私は、去年から引き続き「老子」にコって、今年の賀状には、天地不仁(第5章)と書いた。天地(自然)が、仁(人間に思いやりがある)と見るか、ないと見るか。今日までは、天の恵みとか、余慶ありとかというのが、儒教でもキリスト教(神)でも、天地は仁だときめていたが、本当は、人間が自然に適応してうまく生きているだけで、天地の運行は人間のことを考えているわけではない (ダカラ人生に油断は禁物と云いたい)
 多少共他人に物を教え、指導する人間(子に対する親、妻に対する夫、教師、作家等)は、常識的思考=儒教のアヤマリに気づかねばならぬ。老子を読むと、そのことがよく分る。草々 >

こんな風な賀状を捨てられないのは、ワタシが、差出人=おじさんのトシになったか、超えたかでしょう。
ワタシには、今、この賀状のおじさんの、そのときの年齢を知ることはできません。明治44年生まれの母の弟で、三重県志摩半島の海辺、浜島で、開業医であった片山碩夫さんの、生年月日、いや生年さえ知ることは、もはやできません。だいたい、おじさんに合ったのは、たったの一回だけ。ワタシが大阪で学生をしていた時に、岡山の田舎に住んでいた母を、大阪から三重県浜島に連れていったときのたった一回です。おじさん(母の弟)は、両親と同居していて、すなわち母を、母の両親の所につれて行ったということになります。何か用事があったのでしょう。ワタシは、開業医病院!病室のベッドに泊めてもらいました。昭和38年(1963)年のことです。
その頃、まだまだ、日本は広かったのです。

 <おまけ>
*子どもの頃の、わが家の伝説で、おじさんが本を出したことは知っていました。<港の医者>というタイトルも知っていました。急に思いついてAmazonで探してワンクリック発注。昨日(1月26日)に届きました。800円+送料257円だった。
*昭和33年6月、平凡社の発行でした。<人間の記録双書>の一冊。定価250円。まえがきに、<この本を書くように推薦して下さったのは京都の松田道雄先生でした>と。
*表紙中折れ部分に紹介が載っています。記録のために転記しておきます。<片山先生は、志摩半島の突端、浜島町のお医者さんである。この港は、古くから江戸と大阪をつなぐ便船の寄港地として知られ、真珠養殖で町の経済は豊かである。太陽と潮風と、美しい自然と、食うにこと欠かない金とに恵まれた港町である。先生は、内科が専門、自らザルプロ医者と卑下しているが、事実開業医の腕前は、患者でない私たちにはわからない。しかしどうも、先生の聴診器は、病気を探りあてるためにだけあるのではないらしい。患者の、人間の音、様々な心理の雑音を見事に聞きわけているようだ。この点では、稀に見る名医である。肉体の医者であるだけでなく、精神の医者にもなれそうな資格十分であるが、この称号は固辞するにきまっている>


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1 コメント

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ぼくのおじさんは・・・・ (Kenichi Yamaguchi)
2015-02-19 16:42:09
 松田道夫先生は私が指導をいただいた木村好次先生の義父に当たる方です。木村先生はトライボロジー(摩擦工学)における日本の第一人者で、東京大学工学部の教授を定年され、香川大学の学長になられました。先生が駒場にあった東大宇宙航空研究所におられたころ、勤めていた会社から派遣され、1年間指導していただきました。もう40年以上前のことですが…・。その後も勤めていた会社にお越しいただき、指導をいただきました。
 素晴らしいご親族をお持ちで、うらやましいです!!

    山口

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