阪神電車の創設目標は、都市間高速道構想でしたが、阪神間は既に、管鉄(現在のJR)があり、完全に競合することから、逓信省鉄道局からの認可が下りず、当初は路面電車として免許を取得しました。
そこで、当初の目的を達成するために内務省などに働きかけ1部、路面電車にすることとして他は高速運転のメドを立てました。
そのことは前回まで述べてきましたが、その高速化の目的を達成するために色々と対策を講じてきました。
競合ライバルがいるということで、新たなサービスを考えなくてはなりません。
大阪ー三宮間が官鉄は60分かかっており、阪神は併用鉄道のため速度制限があり90分もかかており、これを何とかしなくはと考えました。
阪神間 競合鉄道 上から 新幹線・阪急神戸線・JR神戸線・阪神本線
そこで考えたのが、運転間隔を短縮して乗客の利便性を上げることでした。
官鉄の運転間隔が当時1時間~30分であったものを、12分毎としたことで、多くの乗客が阪神に流れ込んだと言われています。
「待たずに乗れる阪神電車」のキャッチコピーは、この時から最近まで使われており、開業時の精神を受け継いでいました。
スピードも60分を切ることに成功し、それが「ジエットカー」をも生まれることになりました。
急行など優等列車だけではなく、駅間が短いため普通車にも、「待たずに乗れる阪神電車」を実現するためには、出だしのスピードが大事ということで実現しました。
20年ぶりの阪神 普通車の新型車 ”5700系” 8月24日出発進行
その普通車に、今年、新車が生まれました。
5700系で、阪神電車の青色を基調にしたもので普通車の伝統を引き継いでいます。
この新型車には社内外のとびらの横に「あける」ボタンが・・・
そして社内には「しめる」ボタンが設置されています。
車内”あける”ボタン 車外の”ひらく”ボタン 5700系の車内座席
JRなどのローカル線や地方の鉄道では設置されていますが、都市部の電車に設置されているのは珍しいです。
理由は、阪神電車の普通車は、特急・急行の通過待ち等で長時間停車する際、車内の冷気や暖気が外に漏れるのを防ぎ、車内温度の維持するためです。
これも、阪神電車のサービス精神の表れなのでしょうか。