私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

グールドのベートーヴェン - ピアノ・ソナタ第30番~第32番

2012-02-11 02:32:06 | 器楽曲

 今日はまたグレン・グールドが遺したベートーヴェン「ピアノ・ソナタ」の録音から最後の3つのソナター「第30番」・「第31番」・「第32番」が聴きたくなった。この録音はデビュー盤バッハの「ゴルトベルク変奏曲」(1955年録音)に続く1956年6月のモノラル録音で彼の初のベートーヴェン録音でもあった。(写真)「ゴルトベルク変奏曲」のようにステレオ再録音はしなかったものの実に彼らしいユニークな解釈のベートーヴェンである。その後彼は断続的にベートーヴェンのソナタ録音を行ったが全集録音には至らなかった。最も彼自身にその意思もなかったようである。
 しかしこのベートーヴェンの後期最後の3つのソナタ録音は独自の自在なテンポ設定といい従来のベートーヴェン演奏の常道から外れた演奏スタイルが注目され彼の名声をより高めたアルバムだったことを思い起こす1枚だった。賛否両論ある彼のベートーヴェンだが私は特に最後の「第32番」が好きである。

パーヴォ・ベルグルンドの「ブラームス/交響曲第1番」

2012-02-09 19:06:26 | 交響曲

 先日82歳で亡くなったフィンランドの名指揮者パーヴォ・ベルグルンドがフィンランド放送響を振った「ブラームス交響曲第1番」のライヴを愛好仲間が「CD-R」に起こしてくれた。ベルグルンドと云えばやはりシベリウスが反射的にイメージされてしまうがこの2005年8月25日にヘルシンキのフィンランディア・ホールでのブラームスも大変興味が湧いた。この音源はこのたび彼を偲んで「フィンランド放送」が特別番組として「ネット・ラジオ」を通じて再放送したものである。
 ベルグルンドの「ブラームス交響曲」録音は2000年5月、バーデン・バーデンにおける「ヨーロッパ室内管弦楽団」とのコンサート・ツィクルス・ライヴがフィンランドの「オンディーヌ」から全集盤としてCD化されたことがある。(2001年)これが彼の唯一のブラームス録音と思われる。」しかしこれは「室内管弦楽団」による小編成での演奏だった。一方この「フィンランド放送響」との「第1番」はフル編成によるより重量感のあるズッシリとした彫りの深い渋いブラームスに魅力を感じた。因みに「第1楽章」の主題提示部の反復も実行していた。今回改めて彼のブラームス感を再認識した次第である。

ヘルシンキの白亜の殿堂「フィンランディア・ホール」

朝比奈/大阪フィルー1975年欧州公演ライヴ、もう一つの「ブルックナー第7番」

2012-02-06 17:45:58 | 交響曲

 朝比奈 隆&大阪フィルの初の欧州公演(1975年)における「ブルックナー交響曲第7番」と云えば作曲者ゆかりの地「聖フローリアン修道院」の記念碑的録音を思い起こすが先ごろ新たに「Altus」よりもう一つのオランダ、フローニンゲンでのライヴ盤が初リリースされた。(写真/Altus-ALT219)この録音は1975年10月26日の公演でこの約1ヶ月におよぶ欧州演奏旅行の朝比奈 隆指揮による最終公演でもあった。当時の公演の模様の一部は現地ヨーロッパの放送局が収録したものもあったようだがこのこの公演を含めほとんどが日本サイドによって収録されていた。しかしこのCDの解説によればその多くのマスター・テープが現在は残念ながら所在不明になっているとのことである。
 さてこのオランダでの演奏は全体的に先の「記念碑的名盤」-「聖フローリアン・ライヴ」に比べ少々速めのテンポがとられているところが特徴的である。それは「聖フローリアン」の「マルモア・ザール」の演奏はやはり「聖堂」という独特な残響余韻にもあるかも知れない。でもこの二つの「第7番」の演奏は当時の朝比奈の興味深いブルックナーの演奏であることに違いはない。
 

オットー・ゲルデス&バンベルク響/ワーグナー「交響曲ハ長調」

2012-02-03 19:03:18 | 交響曲

 写真は1960年代ー70年代にかけてカラヤン&ベルリン・フィルのレコーディングを数多く手がけた「ドイツ・グラモフォン」の名プロデュサーでもあったオットー・ゲルデス(Otto Gerdes/1920~1989)がバンベルク交響楽団を指揮したワーグナーの「交響曲ハ長調」ほかを収録したLPである。(独グラモフォン/2530194)このレコードの国内盤は未発売だったので日本ではあまり知られていない。
 録音は以前に紹介したベルリン・フィルとのブラームスの「第4番」の続いてのもので1970年代初頭と思われる。ワーグナーの「交響曲ハ長調」は彼の唯一の完成した交響曲作品でもあり彼がまだ弱冠19歳の1832年に作曲された。現在では演奏される機会も少ない上録音そのものも少ないためこのゲルデスの録音も大変貴重な1枚である。作品は全4楽章構成で書かれておりワーグナーらしい豊かな響きを持っており終楽章のコーダにいたっては何かベートーヴェンを思わせる堂々とした盛り上がりも見せている。マイナーな作品とは云えワーグナー・ファンには興味深いものがある。LP第2面の余白には「ファウスト」序曲と「リエンツィ」序曲が収録されている。

カラヤン/ウィーン響 - ブルックナー「テ・デウム」(1952/ペルージャ、ライヴ)

2012-02-02 18:13:32 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 久しぶりに若きカラヤンのライヴ盤から1枚、ブルックナーの「テ・デウム」を取り上げてみたい。写真は2004年に「ARCHIPEL」からリリースされたイタリア、ペルージャの「聖ピエトロ教会」における1952年9月29日のコンサート・ライヴである。(ARCHIPEL/ARPCDー0259)カラヤンはこの作品をよく交響曲第9番(ブルックナー)と共にコンサートで演奏していた。当時の演奏記録を調べてみると彼はウィーン交響楽団とペルージャ(聖ピエトロ教会)で前日の28日(ブラームス/「ドイツ・レクイエム」)とあわせて2日間のコンサートを行っている。
 このCDには翌29日のプログラムからブルックナーの「第9番」の後に演奏された「テ・デウム」が収録されている。独唱者リタ・シュトライヒ(ソプラノ)、ダグマール・ヘルマン(アルト)、エルンスト・ヘフリガー(テノール)、ハンス・ブラウン(バス)に合唱はカラヤンとは切り離すことができない「ウィーン楽友協会合唱団」が加わっている。録音はモノラルで状態は決して良好とは云い難いが鑑賞には問題ない。演奏は合唱も素晴らしくカラヤンの指揮にも熱がこめられているのがよくわかる。同ライヴ盤の中でも注目に値するものではないかと思われる。
 最後に余談ながらこのCDのメインはカラヤンが戦後初めてベルリン・フィルの指揮台に登場した1953年のベートーヴェン「エロイカ」のライヴ録音である(以前に「AUDITE」盤で紹介済み)このジャケットの表記は1953年9月28日となっているが実際のコンサートは9月8日に行われている筈である。音質も「AUDITE」盤が断然優れていることを付記しておきたい。

ベーム&ベルリン・フィルの「モーツァルト交響曲全集」(15LP)

2012-02-01 15:00:29 | 交響曲

 カール・ベームがベルリン・フィルと1959年から1968年にかけ10年の歳月を費やし完成したモーツァルトの「交響曲全集録音」は彼の金字塔のひとつであろう。写真はそのドイツ・グラフォン原盤の15LP/BOXセットである。(独グラモフォン/2720086)因みにこの全集は当時「ケッヒェル第6版」による全47曲が収録された唯一の全集盤でもあった。いずれもそれぞれ録音された年代にほぼ単発で発売され筆者も後期交響曲を中心に買い求め以前にもその一部のLPは紹介済みだが今一度全集盤として取り上げてみた。
 演奏はさすがベームと聴き手を唸らせる彼の至芸が作品の細部にわたり堪能できるまさにモーツァルト交響曲の真髄が伝わる名演である。またこの全集盤(国内盤)は1970年度の「日本レコード・アカデミー賞」(特別部門)に輝いている。今後もレコード史に永遠に語り継がれていく不滅の名盤であろう。