朝比奈 隆&大阪フィルの初の欧州公演(1975年)における「ブルックナー交響曲第7番」と云えば作曲者ゆかりの地「聖フローリアン修道院」の記念碑的録音を思い起こすが先ごろ新たに「Altus」よりもう一つのオランダ、フローニンゲンでのライヴ盤が初リリースされた。(写真/Altus-ALT219)この録音は1975年10月26日の公演でこの約1ヶ月におよぶ欧州演奏旅行の朝比奈 隆指揮による最終公演でもあった。当時の公演の模様の一部は現地ヨーロッパの放送局が収録したものもあったようだがこのこの公演を含めほとんどが日本サイドによって収録されていた。しかしこのCDの解説によればその多くのマスター・テープが現在は残念ながら所在不明になっているとのことである。
さてこのオランダでの演奏は全体的に先の「記念碑的名盤」-「聖フローリアン・ライヴ」に比べ少々速めのテンポがとられているところが特徴的である。それは「聖フローリアン」の「マルモア・ザール」の演奏はやはり「聖堂」という独特な残響余韻にもあるかも知れない。でもこの二つの「第7番」の演奏は当時の朝比奈の興味深いブルックナーの演奏であることに違いはない。