カラヤンが指揮するモーツアルトの「交響曲第29番イ長調K.201」は実に優美である。カラヤン・スタイルのレガートで流れゆく演奏にうっとりとさせられる。カラヤンはこの交響曲を生涯にセッション録音で3回レコーディングしているが「KARAJAN 60」に収められている音源は1965年8月サンモリッツ、ヴィクトリアザール録音の2回目にあたるものである。(写真上)DGオリジナルLPは「139 002SLPM」の番号で同様に「第33番」とのカップリングでリリースされている。
カラヤンはこの「第29番」を実演でも「第39番」ほどではないにしても時折プログラムの前半に取り上げており最後の来日公演(1988年)でもチャイコフスキーの「悲愴」の前に演奏している。(この公演ライヴは後にCD化)またカップリングの「第33番」についてはEMIにウィーン・フィルとの1946年のSPモノラル録音があるがステレオ録音ではこの1965年のこのベルリン・フィルとのものが唯一となる。ついでに蛇足ながらこのLPレコードでは再リリースされた回数も少なく国内盤では初出の「SLGM1342」の後は「MG2171」と1979年に発売されたグラモフォン廉価盤ー「レゾナンス・シリーズ」が最後となった。(写真下ーMGX7001)