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私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

キリル・コンドラシンのショスタコーヴィチ「交響曲第13番<バビ・ヤール>」ほか

2013-11-09 19:40:39 | 交響曲

  ショスタコーヴィチの「交響曲第13番変ロ短調作品113」、通称「バビ・ヤール」と呼ばれるシンフォニーはバス独唱並びにバス合唱つきの5楽章構成の一大カンタータ風の作品である。作曲された年は1962年、副題の「バビ・ヤール」はウクライナ地方にある峡谷の地名で第二次大戦中の1941年この地を侵攻した「ナチス・ドイツ」によるユダヤ人虐殺が行われた場所であった。当時、旧ソビエト体制下では作品のテーマが当然のことながら問題となり初演をめぐって当局とひと騒動あったことは有名な話である。初演は1962年12月18日に「モスクワ音楽院大ホール」に於いてキリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団、バス独唱ヴィタリー・グロマツキー、ロシア共和国合唱団ほかで行われている。写真の「ロシア・ヴェネチア盤4CD・セット」(2004年リリース)にはこの初演の翌々日20日に行われたライヴが収録されている。大変貴重な当時の放送音源でもあり指揮者コンドラシンの力量が緊張感とともに伝わってくる。(テキストは反体制派の詩人エフゲニ・エフトゥシェンコの詩)

 ほかにこの4CDセットにはレオニード・コーガンとのショスタコヴィーチ「ヴァイオリン協奏曲第1番」(1962年録音)、ダヴィッド・オイストラフとの「同第2番」(1968年録音)や普段まず耳にすることがないポーランド出身(後にソヴィエトに亡命)のミェチスワフ(モイセイ)・ヴァインベルグの交響曲など珍しい作品が収録されている。

 

 

 

 


R.ノリントン&ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ -メンデルスゾーン「スコットランド」

2013-11-03 20:20:43 | 交響曲

 ロジャー・ノリントンも個性派指揮者である。彼は自らピリオド楽器によるオーケストラ、「ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ」(1978-97)を結成しロマン派の作品を中心に古楽器による演奏を試み当時大変注目を浴びた。写真のLPは彼がこの楽団の音楽監督時代に録音したメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」並びに第4番「イタリア」をカップリングしたものである。(1989年スタジオ・デジタル録音ー独EMI7 54000 1) 彼は後にシュトゥットガルト放送響の首席指揮者時代にはライヴで再録音(独ヘンスラー)しているがピリオド楽器によるこのEMI盤も非常に興味深い1枚だった。因みに「スコットランド」の第1楽章の反復も実行している割に全体の演奏時間が約37分半の快速テンポに驚いた。ただこの国内盤が当時リリースされたか否かは記憶がない。このたびも「NHK交響楽団」の10月定期に客演、ユニークなベートーヴェンを披露し会場を沸かせた。今後の活躍にも期待したい。

 

  

 


アルヘンタ&パリ音楽院管弦楽団 - ベルリオーズ「幻想交響曲」

2013-11-02 15:10:47 | 交響曲

  1958年、44歳の若さでこの世を去ったスペインの鬼才アタウルフォ・アルヘンタが亡くなる1年前「パリ音楽院管弦楽団」とステレオで遺したベルリオーズの「幻想交響曲」である。写真のLPレコードは筆者が高校時代、かれこれ半世紀近く前に求めたものだがカラヤン盤、ミュンシュ盤などと共に愛聴している。(キング・レコード、SL-1011)アルヘンタの録音については過去にも何枚か紹介ずみと思うがかなりユニークでクセのある演奏に興味をひいた。この「幻想」も例外ではなく彼の強烈な個性が楽しめる1枚だった。ステレオ最初期のものだが「英デッカ」特有の素晴らしいサウンドが聴ける。因みにジャケットに使用されている絵画はパウル・ヒンデミットの交響曲「画家マチス」の題材にもなった16世紀に活躍したドイツの画家マティアス・グリューネヴァルトが描いた「イーゼンハイム祭壇画」の「聖アントニウスの誘惑」(一部拡大)である。

 

 


バーンスタイン&ウィーン・フィル - 「ブラームス交響曲全集」 

2013-11-01 15:01:27 | 交響曲

  レナード・バーンスタインがウィーン・フィルと1981年~82年にかけて完結した全てライヴ録音による「ブラームス交響曲全集盤」である。(独グラモフィン4LPー2741023)バーンスタインはこれ以前1960年ー64年には「ニューヨーク・フィルハーモニック」と全集盤を録音していたがこの「ウィーン・フィル盤」の方が燃焼度も高くより熱気を感じさせる。因みに初出(1983年)は国内盤もLP4枚組セットで発売され「日本レコード・アカデミー大賞」に輝いている。バーンスタインの演奏スタイルはいつも情熱をダイレクトに作品に注ぎ込む。また一足先(1977年ー79年)に同コンビにより完成したライヴ録音による「ベートーヴェン交響曲全集」(1980年度日本レコード・アカデミー大賞)と共に不滅の名盤として後世にも伝えられていくことだろう。

  


ジュリーニ&ウィーン・フィル ー ブルックナー「交響曲第8番」 

2013-10-25 19:05:26 | 交響曲

  写真のジュリーニ&ウィーン・フィルによる「ブルックナー交響曲第8番」(1984年DG録音)は彼のウィーン・フィルとの交響曲初録音でもあった。過去に同時期行われたこのコンビによるコンサート・ライヴ(FMエア・チェック)、CDはすでに紹介ずみだが今回久しぶりにこのLPレコードに針をおろしてみた。彼はその後「ドイツ・グラモフォン」にウィーン・フィルとは「第7番」を1986年、「第9番」を1988年に録音したがやはりこの「第8番」が大変素晴らしい。 またLPで聴いてみるとウィーン・フィルのたおやかな響きがことさら美しく感じる。リリースされた1985年当時まだLPとCDが同時発売されていた時代であった。今考えてみると両方を求めておいてよかったと思っている。(写真、独グラモフォンLP国内盤52MG 0856/7)

 

 


デルヴォー&コロンヌ管弦楽団 - ルーセル「交響曲第2番」

2013-10-22 11:30:02 | 交響曲

  昨日に続きデルヴォーのLPからもう1枚、写真のアルベール・ルーセル「交響曲第2番」(仏パテ 2 C069-73096)を取り上げてみたい。ルーセルの交響曲については過去にミュンシュ、クリュイタンスの「第3番」、「第4番」のレコードを紹介ずみと思うがそもそもルーセルの交響曲は現在でも録音の数も限られており全集録音となるとルーセル没後50周年記念盤としてリリースされたシャルル・デュトワ&フランス国立管ぐらしか思いだせない。ルーセル(Albert Roussel/1869~1937)の作風はフランス印象主義的観点から出発し新古典主義の境地に達する。この「第2番変ロ長調作品23」はルーセル52歳の時に完成、全3楽章から構成され彼の4曲の交響曲の中でも演奏時間約40分を要する。ルーセル独特の渋さ、色彩感豊かな音づくりが特徴だが聴きどころがつかみにくいところも今いち人気がうすい要因かもしれない。デルヴォーは確かこの「第2番」しか録音しなかったと思うがさすがフランス近代音楽のスペシャリスト、巧みな棒さばきでルーセルのロマンティシズムを聴かせている。またフィルアップされた晩年に書かれた3楽章構成の「小管弦楽のためのコンセール作品34」も印象的だ。

 

 

 


ピエール・デルヴォー&コンセール・コロンヌ管 - ドヴォルザーク 「新世界から」 

2013-10-21 22:42:16 | 交響曲

  ピエール・デルヴォー(Pierre Dervaux/1917~1992)&「コンセール・コロンヌ管弦楽団」による「仏デュクルテ・トムソン」レーベルのレコードについては以前ベルリオーズ「幻想交響曲」(1962年ライヴ録音)を取り上げたかと思うが今回紹介するドヴォルザーク「交響曲第9番<新世界から>」(レコードでは「第5番」)も大変懐かしい1枚である。(写真LP/仏DUCRETET THOMSON-CC 505) こちらは1961年12月12日のコンサート・ライヴ録音である。フランスの指揮者、オーケストラによるドヴォルザークの録音も当時はまだ珍しかったかと思う。演奏も当然のことながらチェコやドイツのオーケストラとはまたひと味違う。彼はシャルル・ミュンシュを継いで、1958年から亡くなるまでこの楽団の首席指揮者をつとめこの楽団との繋がりは深かった。また彼は1965年にNHK交響楽団に客演、その後も何度か来日しその演奏の一部は「N響85周年記念ライヴ・シリーズ」でCD化されている。

 

 


ブリュッヘン&18世紀オーケストラ ー メンデルスゾーン交響曲第3番ほか                             

2013-10-20 18:48:56 | 交響曲

 フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラの古楽器によるメンデルスゾーンである。 写真のCDは「序曲フィンガルの洞窟」「交響曲第3番<スコットランド>」(以上1994年11月録音)「第4番<イタリア>」(1990年6月録音)が収められている。 いずれもオランダ、ユトレヒトにおけるライヴ録音だが拍手はカットされており会場の聴衆のノイズ等もほとんど聞こえないのでゲネ・プロの演奏等も合わせて編集されたものと思われる。オリジナルは「フィリップス」からリリースされたものだがクラシック部門が2007年には「DECCA」の傘下に入り2009年からは「フィリップス」のロゴも使用されなくなり写真のように現在は「DECCA」のロゴになっている。ブリュッヘンはこのコンビで「第5番<宗教改革>」も1995年5月にライヴ録音している。 (写真/ドイツ盤 UNIVERSAL 480 2429)

 

 

 


ハロルド・ファーバーマン&ロイヤル・フィル - ラフマニノフ/交響曲第2番 

2013-10-18 13:55:37 | 交響曲

 今日紹介するCDはラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調Op.27」の隠れた名盤、ハロルド・ファーバーマン指揮ロイヤル・フィルによる演奏である。ハロルド・ファーバーマン(Harord Farberman)は日本のクラシック音楽ファンの間ではほとんど馴染みがない。彼は1929年アメリカ出身の指揮者で一昨日取り上げた「コロラド交響楽団」の前身「デンバー交響楽団」を皮切りに「コロラドスプリングス交響楽団」や西海岸の「オークランド交響楽団」で活躍、今年84歳を迎える長老である。このラフマニノフの録音は1978年12月彼がロンドンに出向いた際に「ロイヤル・フィル」とスタジオ録音されたものである。(英UNICORN-KANCHANA  UKCD2030)このラフマニノフの長大で美しい交響曲をゆったりとしたテンポ(演奏時間65分強)で堂々とうたいあげている。レーベルの「ユニコーン・カンチャナ」は1968年創立のイギリスのレーベルでオールド・ファンなら当時フルトヴェングラーの戦時中のライヴ盤をLPリリースしたことを思い出されるであろう。1990年前半には活動を休止していると思われるがクラシックのジャンルのみならず珍しい映画音楽などもリリースしていた。

 

 

 


マリン・オルソップ&コロラド交響楽団 - チャイコフスキー「交響曲第4番」(ライヴ録音)

2013-10-16 16:27:03 | 交響曲

  「コロラド交響楽団」の創設は1989年だがその前身は1930年代に創設された「デンバー交響楽団」でその演奏レベルは高い。その実力は写真のCD、マリン・オルソップ指揮のチャイコフィスキー「交響曲第4番」を聴いてもわかる。この演奏はオルソップが音楽監督を務めていた2000年9月にこの楽団の本拠地デンバーにある「ボエッチャー・コンサート・ホール(Boettcher Concert Hall)」で行われたライヴ録音である。(NAXOS-8.555714) 女流指揮者の活躍がめざましい昨今だが以前にも彼女のブラームスの交響曲を紹介したことがあったと思うがオルッソプの魅力はやはりスケール感としなやか感性であろう。このCDには同時期にスタジオ録音されたチャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」も収録されているがこちらも聴きごたえある。