私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

ヴィトルド・ロヴィツキ&ワルシャワ・フィル ライヴ盤 

2012-06-13 19:02:00 | 歴史的コンサート・ライヴ

  ポーランドを代表する名指揮者のひとりヴィトルド・ロヴィツキ(Witold Rowicki/1914~1989)は1970年代に「読売日響」に客演また四半世紀にわたり音楽監督を務めた「ワルシャワ・フィル」と共に来日し筆者も彼の熱のこもった指揮ぶりを目の当たりにした。レコード録音もポーランドの「ムザ」や「フィリップス」、「ドイツ・グラモフォン」等に数多く遺しているがこれまで「ライヴ盤」はほとんど耳にすることがなかった。

 本日紹介する写真のCDは昨年(2011年)にリリースされた彼のライヴCDである。 「バーチャル・コンサート・ホール・シリーズ(Virtual Concert Hall Series)」と銘打ったライヴ録音シリーズ(チェコ共和国制作)からの1枚でロヴィツキ&ワルシャワ・フィルが1967年4月7日、ロンドンの「ロイヤル・フェスティヴァル・ホール」で行ったコンサート・ライヴ録音である。

 収録曲はポーランドの名女流ヴァイオリニスト、ワンダ・ヴィルコミルスカ(Wanda Wilkomirska/1929~  )をゲストに招き演奏されたブリテンの「ヴァイオリン協奏曲」・チャイコフスキー「交響曲第4番ヘ短調」それに当日アンコールとして演奏されたモニューシコの歌劇「幽霊屋敷」から「マズルカ」の3曲である。ブリテンとモニューシコの作品は普段ほとんど生で聴く機会が少ないのでその観点からも興味が湧く。演奏はライヴならではのスリリング感と共にロヴィツキの緊張感あふれる指揮ぶりが伝わってくる。特にメインのチャイコフスキーの「第4番」は演奏時間も39分を切る快速テンポに圧倒され終楽章のけたたましく鳴り響く金管群、打楽器群の響きに聴衆は興奮させられてしまう。アンコールでは演奏が終わらないうちに沸き起こる盛大な拍手がそれを物語る。少々荒削りながら興味深い演奏である。 またブリテンの協奏曲を弾くヴィルコミルスカの巧さも輝る。

 

 

 


朝比奈 隆、スウェーデン放送響とのライヴ盤

2012-03-09 18:57:37 | 歴史的コンサート・ライヴ

 写真は一昨年「独WEITBLICK」より初CD化された朝比奈 隆がスウェーデン放送交響楽団に客演した際のこれまで未発表だったライヴ音源である。(1956年12月1日)収録作品はメンデルスゾーン序曲「フィンガルの洞窟」、芥川也寸志「弦楽のためのトリプティーク」より「アレグロ」と「アンダンテ(子守歌)」、ベートーヴェン「交響曲第4番変ロ長調」の3曲で中でもこの音源が初登場と思われるメンデルスゾーンと芥川の演奏に興味をそそられた。
 因みに芥川の「トリプティーク」(1953)は当時NHK交響楽団の常任指揮者を務めていたクルト・ヴェスの依頼によって書かれたもので初演も彼の指揮によるニューヨーク・フィルハーモニックの演奏で行われている。この朝比奈の演奏はその3年後に「スウェーデン放送響」のプログラムに取り上げられたことになる。全3楽章構成だがここでは前半二つの楽章が演奏され終楽章(プレスト)はカットされている。第2楽章の「子守歌」では日本的な美しい旋律の響き、リズムが聴きものだ。これは若き朝比奈の1950年代欧州客演時代の貴重なライヴ記録であると共にモノラルながら放送録音ということもあり音質が大変良好なのも魅力的である。(独WEITBLICK-SSS0113-2)

フルトヴェングラー/ルツェルン音楽祭1947年ライヴ盤(仏ーTAHRA)

2011-11-24 18:31:54 | 歴史的コンサート・ライヴ

 今日は久しぶりにフルトヴェングラー&ルツェルン祝祭管弦楽団のライヴ盤(写真CDー仏TAHRA盤/FURT1028-29)を聴いてみた。これは1947年の「ルツェルン音楽祭」、8月27日クンストハウスにおけるコンサートを収録したものである。因みに当日の演奏曲目はベートーヴェン/序曲「レオノーレ第3番」・「ピアノ協奏曲第1番」(ピアノ:アドリアン・エッシュバッハー)・ブラームス/交響曲第1番であった。その音質は決して良好とは云いがたいが演奏はフルトヴェングラーの全身全霊が伝わる熱演である。とりわけベートーヴェン「第1番」のピアノ協奏曲は現在このライヴ音源以外のほかには見当たらないので大変貴重である。またプログラムの最後を飾ったブラームスの「第1番」は1951年の「北ドイツ放送響」(ライヴ盤)と並ぶ名演ではないかと思う。
「フルトヴェングラー生誕125周年」にもあたる今年はまた静かなブームを呼び起こし世界的に益々人気が加速する不思議な魅力を持つ指揮者である。
 
 

「英ユニコーン」の唯一の国内制作盤(?) -「フルトヴェングラー/ベルリン・フィル戦時中録音」から

2011-09-29 15:33:14 | 歴史的コンサート・ライヴ

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルの「第ニ次世界大戦時」のコンサート・ライヴ録音の数々は1960年代末に「英ユニコーン・レコード」から輸入盤で限定発売されたが写真(上)のLPレコードはおそらく「英ユニコーン・レコード・レーベル」の唯一の国内盤制作LPでなかったかと思う。このレコードも1969年に予約制で発売されたが筆者も何とか入手できた。(UNIC106)収録曲は「ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67」と「ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58」(ピアノ/コンラード・ハンセン)で前者が1943年6月27日・30日、後者が1943年10月30日・31日のライヴ音源と言われているものである。「ユニコーン盤」の使用マスターテープの音源は明らかではないがこれらのオリジナル音源は戦後旧ソ連側に渡っていたもので1990年代初頭になって初めて「ロシア・メロディア・レーべル」から限定盤としてLP化(後にCD化)され当時日本でも入手可能となった。
 今改めて両盤を比較してみるとやはり「オリジナル・マスター音源」からの「メロディア盤」(写真下)が音質面ではるかに優ることは述べるまでもない。

(1990年代初頭、「メロディア・レーベル」から限定輸入されたベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番/M10 46067)


フルトヴェングラー、「戦後、伝説のコンサート・ライヴ録音」から

2011-09-16 11:44:04 | 歴史的コンサート・ライヴ

 今年は20世紀が生んだ稀代の名指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886~1954)の生誕125年の年に当たりファンの間では静かなブームを呼んでいる。彼が遺した数々の録音の中でもやはり一発勝負のライヴ音源にその魅力を感じるのは当然のことだと思う。それらは時には劇的で燃焼しきった彼の指揮に聴き手は心を動かされることが多い。今日紹介する「TAHRA」の「戦後の伝説のコンサート・ライヴ」と題す写真の「4CD・セット」も筆者にとってはその一つだった。(TAHRA-FURT1054-1057/2000年発売)
 ここに収録された1)ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調「英雄」(1952年12月8日/ティタニア・パラスト、ベルリン)、2)ベートーヴェン/交響曲第5番・第6番「田園」(1954年5月23日/ティタニア・パラスト、ベルリン)以上、ベルリン・フィル、3)ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調「合唱付き」・フィルハーモニア管弦楽団(1954年8月22日/ルツェルン音楽祭)、4)ブラームス/「ハイドンの主題による変奏曲」・交響曲第1番ハ短調・北ドイツ放送交響楽団(1951年10月27日/ムジークハレ、ハンブルク)は非公式も含め以前にもレコード・CD化されたことがあったと思うがこちらの「TAHRA盤」はそれぞれ「ベルリン・リアス放送」、「スイス放送」、「北ドイツ放送」所有のオリジナル・アナログ・テープから24-bit デジタル・リマスターされたもので格段に音質がアップしている。

「ヴァン・クライバーン イン モスクワ」 (5CDセット) 

2011-09-14 00:24:01 | 歴史的コンサート・ライヴ
(Melodiya -MELCD1001627/5CD)

写真は2009年に「ロシア・メロディア」からクライバーン生誕75周年を記念してリリースされた「ヴァン・クライバーン・イン・モスクワ(Van Cliburn In Moscow)」と題する「5CDセット」である。収録内容は1958年彼が弱冠23歳で「第1回チャイコフスキー国際ピアノ・コンクール」で優勝したライヴ録音から1972年までのモスクワでのライヴ音源を中心に集大成した貴重なものである。収録作品もチャイコフスキー、ベートーヴェン、リスト、ブラームス、ショパン、グルーグ、ドビュッシー等々聴き応え充分のボリュームである。しかもそのほとんどの音源がロシア国内でも「CD化」は今回が「初」と言われている。録音は全てモノラルと思われるが音質は大変良好である。
 またこのセットにはチャイコフスキー(第1番/1958年録音)、グリーグ(1972録音)、ブラームス(第2番/1962年録音)の3つの協奏曲がキリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィルのバックで収録されているのも筆者にとっては大変興味深かった。特にブラームスの「第2番」ついては1990年代にこれとは別音源の1972年モスクワ音楽院大ホール・ライヴが「米RCA」よりロシア国外初CD化され当時話題となったことを思い出した。因みに指揮者及びオーケストラは同一だがこちらの方はテンポが若干遅い。

クレンペラー、「1960年ウィーン芸術週間 ー べートーヴェン・ツィクルス・ライヴ盤」

2011-02-10 17:08:13 | 歴史的コンサート・ライヴ

 先頃、巨匠オットー・クレンペラー(Otto Klemperer/1895~1973)が1960年の「ウィーン芸術週間」においての手兵「フィルハーモニア管弦楽団」との「ベートーヴェン交響曲ツィクルス」ライヴ盤が今回復活をプロデュースしたフルトヴェングラー等の歴史的ライヴを多数リリースしている「アーチペル(Archipel)・レーベル」から「アンドロメダ(Andromeda)」レーベルに移して再リリースされた。筆者も早速買い求め全曲を聴いてみた。感想は評判どおり総じて満足がいくものであった。音源は当時の放送音源のたぐいが推測されるが1960年録音にしてモノラルなのがちょっと残念だがジャケットに「24bit/96khz」ニュー・リマスターと記されており一段とクリアーなサウンドで聴けることはありがたい。とかく歴史的ライヴ録音の中には時に貧弱な音質のものも多々あるがこの録音は上位ランクに属すると思う。また「ライヴ録音」を聴く楽しみは演奏家の芸術に浸ることは然ることながら他方にその時代の会場の聴衆の雰囲気等をうかがうことも「ライヴ録音ファン」にとっては興味深いことのひとつではないかと思う。因みにこの録音には演奏終了後の聴衆の拍手も収録されている。
 
 

グィド・カンテッリの放送用音源から

2010-12-01 20:06:47 | 歴史的コンサート・ライヴ
 
 昨日取り上げたヴィクトル・デ・サーバタに続き「ミラノ・スカラ座」の音楽監督に就任するはずだった指揮者がグィド・カンテッリ(Guido Cantelli/1920~1956)である。彼については過去にEMI系に遺した正規盤からフィルハーモニア管弦楽団との「ブラームス交響曲第3番」ほかを紹介したことがあるが、本日は「放送用ライヴ音源」から1枚ふれてみたいと思う。彼は1956年11月、ニューヨーク・フィルハーモニック客演するためパリからニューヨークへ向かう飛行機が離陸に失敗し36歳の若さで不慮の死を遂げたため「スカラ座音楽監督就任」は「幻」となってしまった。それゆえに彼の正規録音は数少ないが放送用ライヴ音源が多少なりとも遺されていたことは彼の真価を知る上でも貴重なものである。
 本日紹介する写真のCDはイタリアのマイナー・レーベル「Stradivarius」からかつてリリースされた「放送用ライヴ音源」である。(STR10007)収録作品は全てブラームスで「交響曲第1番ハ短調作品68」(NBC交響楽団/1952年12月)、「アルト・ラプソディ」(アルト/マーサ・リプトン/ニューヨーク・フィル/1956年4月)、「悲劇的序曲」(NBC交響楽団/1951年1月)の3曲である。すべてモノラル録音なのは致し方ないが彼のエネルギッシュな指揮ぶりが聴きものである。いずれもテンポは速くとりわけ「交響曲第1番」は全曲を約40分強で演奏しており演奏終了前に興奮した聴衆の拍手が湧き起こるほど強烈なインパクトを与える演奏だ。さすがにトスカニーニが絶賛した指揮者であったことがうなずけるような気がする。余談ながら記録によれば彼がニューヨークに旅立つ前「スカラ座」で最後に振った作品もこの「第1番」であった。

 




パブロ・カザルスの「歴史的コンサート・ライヴ盤」

2010-07-30 01:35:09 | 歴史的コンサート・ライヴ
 20世紀最大のチェリストであり指揮者としても活躍したパブロ・カザルス(Pablo Casals/1876~1973)の歴史的コンサート・ライヴ盤から1枚取り上げてみたい。写真のCDはカザルスがバッハと共に得意としたベートーヴェンの二つピアノ三重奏曲ー「第5番ニ長調作品70-1」と「第7番変ロ長調作品97」を収録したライヴ盤(Philips-420855-2)である。因みに前者が1961年7月22日、フランスのスペイン国境に近いピレネーの山間の町プラド(Prades)で開催されたコンサート・ライヴ、後者はベートーヴェンの生家ボンの「ベートーヴェン・ハウス」で開催された1958年9月の「ベートーヴェン音楽祭」でのライヴ録音でいずれも幸いにオリジナル・ステレオ録音である。
 演奏メンバーはチェロのカザルスのほかに「第5番」はピアノにスイスのカール・エンゲル、ヴァイオリン、シャーンドル・ヴェーグ、「第7番」のピアノにはポーランドのミエツィスラフ・ホルショフスキがあたりどちらも役者がそろった「ピアノ・トリオ」の演奏ということになる。どちらも歴史に刻まれた不滅の名ライヴ録音であると共にレコードが生んだ「文化遺産」でもある。
 

ロンドンの夏の風物詩ー「PROMS」ライヴ盤

2010-07-27 01:55:51 | 歴史的コンサート・ライヴ
 ロンドンではこの時期になると毎夜9月の中旬頃まで、「夏の風物詩」ともいわれる音楽の祭典「プロムナード・コンサート」ー通称「THE PROMS」が会場の「ロイヤル・アルバート・ホール」を中心にして開催されている。このコンサートはイギリスの名指揮者、サー・ヘンリー・ウッド(1869~1944)によって1895年から開催されている。今年で実に115年の歴史を持つロンドンの名物音楽祭になっている。
 写真のLP盤は当時「BBC交響楽団」の主席指揮者を務めていたサー・コリン・デイヴィス(1927~ )がこの音楽祭の「ラスト・ナイト・コンサート」を指揮した1969年、1971年、1972年の「ラスト・ナイト・コンサート」の聴きどころを収録した貴重なライヴ盤で廉価盤として1979年に当時の「日本フォノグラム」から発売されたものである。(日本フォノグラム/13PC-96)このレコードではアメリカが生んだ名ソプラノ、ジェシー・ノーマンが歌うワーグナーの歌曲「ヴェーゼンドンクの五つ詩」から「悩み」・「夢」(1972年ライヴ)やマルコム・ウィリアムソンの「聴衆とオーケストラのためのカッサシオン<石垣>」(1971年プロムス・ラスト・ナイトのためのBBC委嘱作品/1971年ライヴ)などが聴きものである。また「1972年ラスト・ナイト」で指揮者デイヴィスが聴衆に呼びかけるスピーチも収録されている。