クラシック 名盤探訪

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この曲この一枚 その3 ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」

2009年09月06日 | この曲この一枚
 
かなり昔の話になるが、クナの「指輪」全曲盤が発売になり話題を呼んだことがある。
1957年のバイロイトの演奏ということで、期待に胸をふくらませて大枚をはたいて購入したのを覚えている。
残念なことに、演奏がどうこうと言う前に録音があまりにも貧しく、そのふやけた音に失望せざるを得なかった。
今回のこの盤、同じ1957年の演奏とは思えないほどの音の素晴らしさにまず驚いた。
もちろん、ライヴだしモノラルなのだが、スタジオ録音と言ってもおかしくない程、音に腰が座っていて生々しいのに感心。
次々と貴重なオペラのライヴ演奏を発売するウォルホール・レーベル、この録音の50年という著作権が切れるのを待って、満を持して出したものに違いない。
その期待を裏切らない演奏の素晴らしさに、喜びの念を禁じえない。
ジークリンデを歌うニルソンの声が、何とも若々しく魅惑的で素晴らしい。
私の好きな「Der Manner Sippe sass hier im Saal...」で始まる第一幕の場面など、その絶妙な歌いぶりは言葉で伝えきれるものではなく、何としても一度は耳にして欲しいと思うのみ。
クナの指揮ぶりも奥行きが深くて立派なもので、音が良いからそれを十分に感じ取れるのだろう。
それ以上に嬉しいのは、貴重なオペラのライヴを良い音でしかも廉価で提供してくれるウォルホール・レーベルの存在。
とにかく感謝、感謝としか言いようがない。
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、バイロイト祝祭管弦楽団、ビルギット・ニルソン<S>、ラモン・ヴィナイ<T>、アストリッド・ヴァルナイ<S>、ハンス・ホッター<Bs>、(バイロイト演奏、1957年) <WALHALL>