フランス音楽、しかも室内楽曲となると、私の音楽の棚の中を見ても本当にその数が少ない。
よく見ると、フランクのヴァイオリン・ソナタが居心地悪そうに納まっているぐらい。
私が耳にするクラシックの曲の中でも、最も遠いジャンルにあるのかもしれない。
バッハ、ベートーヴェン、そしてブラームスと一連の重厚なドイツ音楽を聴いてばかりいると、たまには微妙な音の綾を楽しみたいと、ラヴェルとかドビュッシーの盤に手が伸びる。
例外的によく手にするのがこの盤で、解説書を見ると、「...晩年のドビュッシーは、癌の病に侵された中、フランスの流儀によるソナタとして、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタに引き続き、名作中の名作とされるこの曲を書き上げた。
この作品、互いに音色の異なる三つの楽器を絶妙に組み合わせて、真の”フランスのエスプリ”を見事に表現している...」とある。
確かにこれほど洗練された作品はそうあるものではない。
ウィーン&ベルリン・フィルのトップ奏者らが集まり、83年に結成した室内楽アンサンブルの手になるこの盤、この曲この一枚としてどうしても外せない。
・アンサンブル・ウィーン=ベルリン <Grammophon>