毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

「ジェネラルルージュの凱旋」

2010年07月12日 20時44分38秒 | 映画
 さ、駅前TSUTAYAさん2010年上半期ベスト2は、「ジェネラルルージュの凱旋」。

DVD説明:累計700万部(2009年5月時点)を超えるシリーズ最高傑作、待望のDVD化!
救命救急医療の深い闇。“ジェネラル・ルージュ”の背後に隠された驚きの事実とは…?
 現役医師・海堂尊原作による映画『チーム・バチスタの栄光』の大ヒットから一年。田口・白鳥シリーズの中でも最高傑作との呼び声が高い『ジェネラル・ルージュの凱旋』が待望のDVD化。

 豪華キャストという点では「アマルフィ」と同じなんだろうけれど、そのキャストの使い方がぜんぜん違います。妙に格好つけて結局お笑いに走っていった「アマルフィ」に対して、「ジェネラルルージュ」はちゃんとしてます。正名僕蔵、阿部寛、堺雅人、三人のいやあな感じの演技も安定しているし、とくに堺雅人の目がいい。たまに狂気を帯びる感じもすごい。いつか、もっと汚い役をしている堺雅人を見てみたい気がします。
 で、それ以上にびっくりしたのが高嶋政伸。高嶋政伸がこういう目をするとは意外。実は今までぼくの中で非常に評価の低い俳優さんだったのだけれど、この目はすごい。CGで細工してるんじゃないか、というくらい。「ディア・ドクター」の鶴瓶といい、新たに驚嘆できる役者さんを見るのはすごく楽しい映画体験になります。
 それから師長役の羽田美智子さん、彼女もいい。今までほとんど印象のなかった女優さんなのだけれど、この映画ではかなり印象的な役どころだった。それをうまくこなしているように思われました。
 舞台は大学病院。倫理委員会に救急救命治療センターのセンター長が業者と癒着しているという密告書からストーリーは始まるんですが、その決して派手ではない展開も別に飽きるものではなく、見ていく興味を損なうことはないのですが、ただ、残念なのが異常なほどのテンポの悪さ。そして、そのテンポを一人悪くしているのが、主役の竹内結子さん。
 竹内結子さんの役どころは、かなり頭が悪そうで、これは脚本がことさら竹内結子をかわいく描写しようと思ったからなのだろうけれど、バカっぽい&天然=かわいい、という紋切り型の発想がとても貧困のような気がします。
 そして、一見頭悪そうで天然っぽいキャラが事件を解決する、そのギャップに萌えるみたいなのを表現したいらしいのだけれど、これがとことん図式的で、そもそもそういう頭の悪そうな人とこのストーリーとがなじまないんです。というか、竹内結子がいなくなるとストーリーが絞られ、映画の運びもスムーズになる。いや、ほんと竹内結子がだめなの、姿が現われると思わず舌打ちしてしまう。で、「ああ、ええと、あのー」と自信なく喋り始め、映画のテンポをとことん破壊します。で、その一見頭悪そうで天然っぽい竹内結子さんは、実は事件を解決しません。だから、本当に無駄なのです。この映画は2時間を超えるんですが、90分くらいにまとめていればもっとよかったのではないか、と思われてしまいます。竹内結子さんには、ストーリーとは別に、横で踊っててもらうとか、出張でアイスランドに行ってる設定にするとか、それがお互いのためになるのではないでしょうか。
 あと、たとえば、オーバードーズの子と竹内結子とがテンポ悪く会話するシーンの前に、効率よく治療し、一杯薬を出して患者を一生薬漬けにして病院に利益をもたらす医師についてのシーンを挿入することによって、そのテンポの悪さを患者のための丁寧さのことなのだ、と訴えようとしているみたいなのだけれど、治療の丁寧さと竹内結子のテンポの悪さとは実は関係がありません。突っ込みどころです。
 ぼくは彼女が決して嫌いではないし、「サイドカーに犬」での彼女は大好きなんだけれど、この映画では完全に足を引っ張る存在。良薬も使い方を間違えば残念な結果に終わる。胃薬を患部の殺菌に使って薬のせいにする人はいないように、竹内結子の使い方の悪さを竹内結子のせいにはしません。
 いっそのことニコール・キッドマンのアイドル映画「インタープリター」みたいに、徹底的に竹内結子アイドル映画として企画すると面白いのかもしれません。
 あと、ガラスのような目玉をした高嶋政伸&胡散臭い尾美としのりと堺雅人とが対立すれば、いいもん、悪もんがはっきり分かれそうな感じがしちゃうのですが、ほんとそのまんまなので、これはいかがなものか、と。
 で、ま、最後は大災害になって、なかったはずのドクターヘリが阿部寛の手配によって続々と飛来する。そのシーンは「地獄の黙示録」を彷彿とさせるのですが、実際、病院のロビーは野戦病院の様相を呈していて、そのあたりは大変楽しめる(人が苦しんでるシーンで、そういう表現もどうかと思うが)、あ、いや、上手だと思う。
 だから、この映画、前回の「アマルフィ」とはかなり違っていて、ちゃんと普通に話すべき内容はあるんです。ただ、竹内結子さんと記号的ないいもん、悪もんが残念かなあ、と。でも、人に暇だからDVD借りてみようと思うんだけどどうだった? と聞かれれば、「あ、いいんじゃん、結構面白いよ」と勧めるんじゃないかと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「アマルフィ 女神の報酬」 | トップ | 東海道四谷怪談 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事