毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

踏切

2010年06月16日 21時50分26秒 | らくがき

 踏切に少し昔の夏を見る   石田千

 夏が近づくと、あの曲を聴きながら海辺の道をドライブしたいな、とか、草いきれと崖が素敵な外房線に乗って九十九里に行きたいな、とか思う。
 古代ギリシアに心酔して、「ビリティスの歌」なる偽著まで書いたピエール・ルイスは古代人になくて近代人にある快楽は、喫煙と読書だと言った。タバコをすわないぼくは、それを乗り物による移動と読書だと言い換えたい気がする(その二つを同時に満たすために、意味もなく大回り乗車などをする始末)。
 
 ぼくの心の中には架空の踏切がある。
 ぼくたちは海に続く道で電車が通過するのを待っている。踏切の向こうにまだ海は見えない。でも、その先を左に曲がればそこには海がある。
 蝉の声と太陽がぼくたちを包む中、ごわんごわんと音を立てて電車が通る。
 最後の車両が通り過ぎるときが、一番好きだとぼくは言う。
コメント (2)
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