どかんぼこんっていやあ、やっぱり吾妻橋。
唐茄子屋政談の若旦那も文七元結の文七もここから飛び込もうとした。
われわれにはピンと来ないかもしれないが、大川(隅田川)には死のイメージがある。橋を渡って川沿いを自転車で走っていると死の濃密な匂いがする。ぼくが何度もそこへ行って走っているのは、たぶんその死の匂いのエロティシズムに惹かれるからだと思う。死を媒介にして、人は異界と接する。三囲神社の縁日で知り合い水神神社の森へ誘った女は烏だった。
ブリトゥンのオペラにもなった梅若の物語の舞台も隅田川だった。
バタイユ風に言えば、隅田川には死にいたる生の高揚があるのだ。