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福田進一 プレイズ・バッハ

2006年12月14日 15時43分46秒 | 音楽
 昔からJ.S.バッハの曲にしては少し異色だなと思っていた無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番の有名なシャコンヌ。バッハにしては少々ロマンティックな感じがしていたのだ。ここで言うロマンティックというのは、カップルで夜景を見ながらつぶやいたりするものではなく、実存よりも感情に重きを置いているような感じと言うと少しわかりやすいだろうか。
 最初に聴いたのがグリュミオーのヴァイオリンだったということも影響しているのかもしれない。
 それに対し、福田進一の演奏するシャコンヌは実にわかりやすい。わかりやすい以上に気づかなかった声部の関連までもすっきりとした形で示してくれる。
 わかりやすい、というのは簡単ということではない。
 ここで聴かれる音色の変化や音の豊富な引き出しは技巧うんぬん以前に、本当にこの曲と向かい合って生み出されたものだと思う。一音、一音、よく考え抜いて音をつむいでいるのがわかる。
 それはシャコンヌのような大曲だけではない。
 2つのガヴォットなどぼく自身中学生の頃よく弾いた曲がまるで別の響きをもって現れたのに、その響きこそ昔から探していたものだと思わせる演奏だ。説得力とはこうした響きの上に生まれるものなのだ。
 素晴らしいバッハ。
コメント
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