毎日が観光

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神戸の夜

2006年06月16日 16時48分32秒 | 観光
 神戸という街は関東のぼくから見ると、「渋谷」と「上野」と「横浜」と「お台場」が合わさったような街だった。三宮駅を一歩出るとそこは渋谷の風情で、横丁は上野、北野坂から異人館あたり、あるいは海側の税関などは横浜、そして埋め立て地はお台場。さまざまな顔を持つ街。
 たとえば

「サンキタ通り」の表示がなければ、東急bunkamuraんとこの坂道によく似ている。

 そこから歩いてすぐの場所は

 池之端藪蕎麦界隈を思わせる。

 そうかと思うと、北野坂あたりには、

 という、思わず「おお! ヴィレッジ・ヴァンガードじゃん!!」と叫んでしまった看板(もっともアメリカに行ったことのないぼくは、実際のヴィレッジ・ヴァンガードなど知るよしもないのだが)。

 今日は最初の思惑通り、ベーコでズージャの予定。神戸にはジャズクラブが数多くあるらしいが、事前リサーチの結果「ソネ」が老舗中の老舗、名門中の名門らしい。東京で言うところの「銀座スウィング」や「六本木バードランド」って感じかな。

 ソネに入る。メンバーはジャズクラブが初めての女性3人と関西のジャズクラブが初めてのぼく。礼儀正しい店員さん(ジャズクラブでいつも感心するのは、店員さんが礼儀正しいのだが、決して慇懃無礼ではない点。神戸でも同様だった)に案内されて席に着く。入り口に比べて店内はかなり広いのだが、それでもほとんど一杯の人たち。たばこの煙は覚悟していたが、空調が強力なせいか、さほど気にならないこともありがたい。店内はワイワイ盛り上がっており、みな楽しそうである。ぼくたちもその雰囲気を楽しみ、ペンネ・アラビアータがケッチャップ味をしていても、まあニコニコしていた(一瞬、デパートの8階で食べるナポリタンじゃねえよ、と思ったが)。
 しかし、そのワイワイと楽しい盛り上がりがミュージシャンが登場して演奏し始めても続いていたときには、びっくりした。もしかして最初はこうで、次第に音楽を聴くようになるのか、と思って待ったのだが、2曲目が終わってもワイワイガヤガヤしている。前のおばさんは拍手すらせず、大声で喋り、笑っている。よく見ると最前列の一列だけが音楽を聴いていて、あとの人はまったく音楽を聴いていないのだ。
 昔入っていた会員制クラブのノリだ。ピアノやジャズヴォーカルの生演奏がかかっていたが、単なるBGMとして聞き流していた。しかし、ここは登場ミュージシャンのスケジュール表までwebページに掲載するジャズクラブなのだ。ミュージック・チャージもつくし、料理だって飲み物だって割高である。
 そう、結局他の客たちは、生演奏のBGMがある高級レストランの認識で来店しているのだ(イタリア料理にケッチャップは使わないんだよ、ほんとの高級店は)。あとで知ったのだが、神戸のジャズクラブのチャージは900円程度らしい。東京なら最低でも2500円。以前表参道のブルーノートでデビッド・サンボーンを聴いたときは1万くらい払った覚えがある。その値段設定なら音楽を聴きに来る人しか来ないから、みんなお行儀よく音楽を聴く。
 神戸ではジャズは東京よりもっと身近な存在なのかもしれない。短めのワンステージを聴いて、店をあとにした我々だった。
コメント
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