ながめ余興場

2007-12-16 20:45:28 | 北関東3県 (茨城・栃木・群馬)







 ながめ公園に残る芝居小屋。 景勝地である高津戸峡を見渡せる一番いい場所だった事から「ながめ」と付けられたこの地には、かつて「ながめ遊園地」という大正末期から昭和にかけて活躍した遊園地がありました。 遊園地といってもそれだけに留まらず、旅館や小さな動物園、ダンスホールに香水風呂(どんなのだろ?)まで備わり、季節の花々に囲まれた一大テーマパークの様相を呈していて大変な賑わいをみせていたそうです。 
 
 この小屋は遊園地の中心施設として昭和12(1937)年に建設。 玄関に大きな唐破風が付いた立派な建物で、昭和初めの頃の歌舞伎座を模して建てられました。 廻り舞台や桟敷席、花道なども備わった建物は、芝居はもちろん浪曲や映画の上映、歌謡ショーなどにも使われていたそうです。 特に農閑期には大勢の見物客が押し寄せ、「2階客席から人が落ちてきた」とか「爪先も立たない殺人的な人手」といった数々の「ながめ伝説」が残る程のものだったといいます。 しかし昭和30年代の最盛期を境にして娯楽の多様化が進み小屋は衰退。 昭和62(1987)年、ついにここは閉じられる事になりました。

 閉鎖され荒れるに任せていた建物が再生されるきっかけになったのは、竹下内閣時代の「ふるさと創生事業」だったそうです(例の1億円交付というやつですね)。 支援ボランティア団体が組織され保存と活用が図られる事になり、ついには平成8~9(1996~97)年の大改修により往時の姿が復活。 催し物が無い時には一般の見学も出来るようになりました。 特にここは梅沢富美男と縁が深いらしく、関連する一座の資料等が展示された奈落(廻り舞台の下)にある資料室は必見。 他にも、壁に多くの落書き(出演者の記念のサインなど)が残る楽屋、アールデコな2階の手すりなど琴線に触れるようなものが沢山息づいていました。 見学した時は私一人だけでしたので(悲)、いろいろと詳しく話を聞かせて頂けたのもラッキーでした。  群馬県みどり市大間々町大間々1635  07年06月上旬

 ※『にほん全国芝居小屋巡り』を参考にさせて頂きました。