地元・水口（みなくち）出身の実業家・井上好三郎によって寄贈された公共の図書館（昭和３年築 １９２８）。 彼は建築用金物を取扱い事業を成功させ、単に利益の追求のみならず社会的貢献の観点から図書館の寄付を思い立ち、ヴォーリズ建築事務所に設計を依頼してこの建物を建てました。
ここは小さな建物ですが明るくて開放的な雰囲気に包まれています。 普通、図書館というと本を日焼けから守る為に薄暗かったりするものですが、ここではその事よりも図書館を利用する人がいかに楽しく書物と接することが出来るかに重点が置かれているような気がします。 この辺りは使い手の立場に立った設計を得意とするヴォーリズらしいところかもしれませんね。 内外とも非常にシンプルで装飾は少ないのですが、その事が玄関上のアーチに描かれた書物と燭台、オリーブのレリーフをさり気なく引き立てています。 また、安全上の理由から撤去されていた塔屋上のランタンが近年復元され、オリジナルの状態に戻された事がこの建物の持つ知的なイメージをより強く印象付けています。 滋賀県甲賀市水口町本町１－２－１ 水口小学校正門脇 ０７年１１月下旬
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