エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

おきな草

2015年04月13日 | ポエム
おきな草(おきなぐさ)と読む。
「おきなそう」では無い。

誠に不思議な花である。
春に花開く。



白く長い綿毛がある果実の集まった姿を老人の頭にたとえ、翁草(オキナグサ)というのである。
ネコグサという異称もあるのだけれど、やはり綿毛が産毛に見えるからネコなのであろう。

おきな草でネット・サーフィンしていたら、島津亜矢の歌う「おきな草」があった。
彼女の歌は、最近の歌手の中では一つ抜けている。
男歌でも女歌でも、あるいはまた唸りも上手い。
演歌の歌手は総じて上手いけれど、彼女は格段に上手いのである。



島津亜矢 おきな草




聴いていて、感じた事・・・。
花の生涯を物語にしている。
そこが良い。



花の形から言って、歌にはなりそうも無いのに・・・である。
そもそも論で云うと、おきな草は母の思い出とは重ならない。

しかし、悪くは無い。







「色深む花の終わりの翁草」







全草にプロトアネモニン・ラナンクリンなどを含む有毒植物である。
植物体から分泌される汁液に触れれば皮膚炎を引き起こすこともあり、誤食して中毒すれば腹痛・嘔吐・血便のほか痙攣・心停止(プロトアネモニンは心臓毒)に至る可能性もある。

漢方においては根を乾燥させたものが白頭翁と呼ばれ、下痢・閉経などに用いられるのだ。



しかしながら山野にあって、得意な花であるし目立つ。
だからだろうか、絶滅危惧種である。
目立ってはならないのだ。



花の後、長いひげが残る。
この髭は、やがて綿毛となって種の保存に躍起となるのである。
けれども風の唸りを捉えるのは、上手い。



花言葉は・・・。
「何も求めない」「背信の愛」「告げられぬ恋」「清純な心」「華麗」である。

背信の愛・・・うん、そうだろうと思う。
花のオマージュは、背信の愛であるかもしれない。



      荒 野人