エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

春を食べる

2015年04月03日 | ポエム
春を食べた。
少しばかり、口に触るけれど春の香りと味覚のバランスは秀逸だ。



土筆である。
土の筆と書いて、つくし!
その対象を捉える日本人の感性に、感服である。



近ごろは、迂闊にそこら辺にある土筆は食べられない。
愛する皆さんのペットを批判する訳ではないけれど、ペットの散歩時に「おしっこ」をしてしまうからである。
ペットとしては、当然のマーキングであってその事自体は否定できない。
ただ、牧歌的な時代ではないのだと認識するのである。



この土筆は、前の写真の花壇で収穫した。
ペットの荒らした形跡もなく、清潔であると判断できたのである。







「ゆるやかに大気をつなぐ土筆摘む」







土筆の袴を丁寧に外す。
すると、すらっとした美味しそうな土筆に変身する。

この土筆を軽く湯�惜いて灰汁抜きを施す。
寝紅極めて少量の油を拭いて、軽く炒めて、溶き卵を回しかける。

出来るなら、卵は半熟くらいが美味しいのである。



これが完成形である。
箸でたっぷりと救い撮り、口に運ぶ。
口の中が春になる。



土筆をお食べにならない方が多い。
ぼくはやはり年に一度はこれを食べたくなるし、食べる。

土筆も幸せ、ぼくも幸せである。



     荒 野人