予備知識なしで、ぜひ。
「秘密への招待状」73点★★★★
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インド・カルカッタのスラム街で
孤児院の運営に奔走するイザベル(ミィシェル・ウィリアムズ)は
資金不足に頭を悩ませていた。
そんなとき
「200万ドルを寄付する」という
アメリカの起業家からの連絡を受ける。
やったー!!と喜んだのもつかの間、
それには「イザベル本人が、寄付主に会いにニューヨークに来ること」という条件があった。
しぶしぶNYへやってきたイザベルは
一代で財を成した億万長者テレサ(ジュリアン・ムーア)と対面する。
だがテレサはすぐに寄付をしないと渋り、
あげく、イザベルをテレサの娘の結婚式に出席するように誘う。
不快感&不審感丸出しのイザベルだが
インドの子どもたちを思い、仕方なしに、結婚式へと向かう、
そこで彼女が目にしたのは
あまりにも驚きの光景だった――!
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これは、ぜひ予備知識なしで観ていただきたい。
何が起こるのか、何を描いてるのが
なかなかわからないあたりが、おもしろいんですよ。
といいつつ
ここからは中身を明かしてしまいますがw
イザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は
テレサ(ジュアリン・ムーア)の娘の結婚式に出て、
彼女のダンナが、20年以上前に別れた自分の元夫だと気づくのです。
で、いままさに結婚式を挙げてる新婦が
まさか、その昔、自分が生んだ元夫との娘?!となっていく――という展開。
正直、要素はベタベタだし
さらに展開はけっこう「え〜?(それ、ないわ〜)」なのに
めちゃくちゃ心を持ってかれてしまう。
監督はジュリアン・ムーアの実生活でのダンナでもある
バート・フレインドリッチ。(ちなみにジュリアン・ムーアは10歳上の姉さん女房ね)
この方、
感情という布の裾を「ふっ」とつかむような、
編集、いや構築がうまいのかもしれん。
で、観終わって
そうかこれ、スザンネ・ビア監督
「アフター・ウェディング」(06年)か!
と、気づかなかったほど巧みでびっくりしました。
スザンネ監督、大好きなのに!(笑)
「アフター・ウェディング」でマッツ・ミケルセンが演じた役が
ミシェル・ウィリアムズ演じるイザベルで
つまり、この映画は
元ネタと男女を入れ替え、
女性をヒロインにし、女性目線で同じ話を描いてるんですね。
なるほど、それもあってか、かなり味が違う。
しかも
ある種の“シスターフッド(女性の連帯)“テーマにもなり、
いまの時代にジャストフィットになった、というわけです。
もちろん
元ネタを知らずとも(実際、ワシも気づかなかったし)
その深みを味わえると思います。
心ならずも、の事情はあったとしても
自分のために子を手放したヒロインは、
その贖罪のように、人道支援に人生を捧げてきたのに
結局、そのツケを払うことになるのか?
それに自分の人生を売って
インドの子どもたちを救うのって、人道的なのか――?
人はなにを基準に「利己主義」「利他主義」を計るのか?
何を選べば、我々は人の道をゆけるのか、しあわせになれるのか。
さまざまを考えさせられました。
★2/12(土)からTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開。