ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

あなたを抱きしめる日まで

2014-03-10 23:58:50 | あ行

ジュディ・デンチにそんなに“やられる”方ではない。

でもこの映画は、ネタの活かし方が見事だった!


「あなたを抱きしめる日まで」78点★★★★


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BBCの元ジャーナリスト・マーティン(スティーヴ・クーガン)は
政府広報の仕事をクビになり

やさぐれつつ、
次の仕事のネタを探していた。

そんなとき、彼は
70代のフィロミナ(ジュディ・デンチ)に出会う。

彼女には50年間隠し通していた、秘密があった。

50年前、アイルランドの修道院で未婚で子どもを産み、
その後、別れ別れになっていたのだ。

マーティンは記事のネタにすべく
彼女の子捜しを手伝うことになるのだが――?!


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これが実話って、マジ?!――というほど
あまりに数奇で信じられないような話を、

ことさらにメロドラマチックにせず、
効果的な映像によって表現した

映画の「語る力」を見せつける良作です。


アイルランドの厳格な修道院に育ち、
しかし10代で妊娠し、子を生んだフィロミナが
50年後に、その子を捜す物語。


なぜ50年間隠していた秘密を
いまになって話す気になったのか――?!
その理由もちゃんとわかるし、
社会的な背景や事件も絡んでくる。

息子捜しがメインなのかしらんと思いきや、
その結果は意外にあっさりと提示されたり

しかしそこから
再び“息子を探す旅”になるという展開もおもしろい。

皮肉屋のジャーナリストとのコンビの妙、、
やがて明らかになる事実にも驚かされます。


なにより
彼女が会ったことのない
“息子”の成長の記録映像がストーリーの合間に挟まれるんですが

これが予想以上に効果的で

その意味がわかったとき、
それだけで目頭が熱くなりました(泣)

冒頭、元ジャーナリスト・マーティンの置かれた状況が
周知の事実っぽく描かれてて
ちょっとわかりにくさを感じるかも、ですが

すぐに本題に入るし、
状況はやがてわかるので大丈夫。


監督のスティーヴン・フリアーズ氏は
人間ドラマの名手ではあるけれど

どうも淡すぎるというか
最近はズキュンとくるまでなかったんですが
今回は、そのタッチの優しさが効果的に働いてる。

「クィーン」(06年)より断然ベストな作品だと思います。


★3/15(土)から全国で公開。

「あなたを抱きしめる日まで」公式サイト

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
偉大なる、しゅららぼん (モー子)
2014-03-11 01:45:22
観た?
演出部の後輩が監督したんだけど。
感想聞きたい!
しゅららら (ぽつお番長)
2014-03-12 00:02:00

すいませんすいません
スルーしました、すいません
今度みときます・・・たぶん。
Unknown (モー子)
2014-03-12 02:17:32
あ、強制じゃないんで(笑)
黒沢清監督の (Unknown)
2014-03-12 17:16:05
Seventh Codeは見ました!?
いや~ (ぽつお番長)
2014-03-13 23:46:28

見られませんでした。

一瞬なんだもん・・・
ありがとうございます! (Unknown)
2014-03-14 06:52:05
前田敦子の発売したCDにおまけで付いてるらしいですよ
タハハ (ぽつお番長)
2014-03-17 02:46:15

らしいですね。買うのか・・・ワシ?それ?(笑)

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