監督はアキ・カウリスマキ作風を参考にしたそうで、
あ、わかる(笑)
「声優夫婦の甘くない生活」74点★★★★
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1990年、9月。
「鉄のカーテン」が崩壊したソ連からイスラエルへと
多くのロシア系ユダヤ人が移住をしていた。
ソ連で暮らしていた
ヴィクトル(ウラジミール・フリードマン)とラヤ(マリア・ベルキン)夫婦も
大勢の移民とともにイスラエルにやってきた。
念願の聖地で第二の人生をスタートさせるべく
二人は仕事探しを始める。
というのも
二人はソ連で、ハリウッド映画などをロシア語に吹き替えする
スター声優夫婦だったのだ。
が、イスラエルでは声優の需要はなく、厳しい現実が待っていた。
なんとか生活費を得ようとしたラヤは
ある“バイト”に足を踏み入れるのだが――?!
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かなりプッ、と笑った
イスラエル発の逸品です。
作品全体に、映画への愛がめちゃくちゃ詰まっていて
かつ、社会&政治状況を描いている。
双方をうまく融合させているのがうまいんです。
1990年、ソ連からイスラエルへと移住したユダヤ人夫婦。
かつて彼らはソ連内で、ハリウッド映画やヨーロッパ映画を
ロシア語に吹き替える仕事をしていて
一応、スター声優だった。
で、彼らはイスラエルでも声優の仕事を希望するのですが
そう簡単に、そんな仕事もない。
「高収入の声の仕事!」と
新聞を見て妻がいくと
テレフォン○ックスの仕事だったり(笑)
ダンナにも仕事がある、と聞いて
すわ!と行くと、緊急避難放送の録音だったり。
そうこうするうちに
「所詮、誰かの代理」と感じ、吹き替えという仕事に虚しさを感じていた妻と
逆に俳優になりきることに生きがいを見出していた夫との間に
ズレが生じていく。
それは
新天地で、変化を受け入れて前に進もうとする女性のバイタリティと
過去にしがみついてしまう男性、という
男女のメンタルの差=ズレにも思えて
とても興味深いし
二人が、そのズレをどう克服していけるのか?(いや、無理なのか?)という部分が
物語をひっぱっていくんです。
随所にクスッとさせるユーモアがあるのもよく
脇役が光る点もいい。
海賊版吹き替えビデオを売る店のオーナーと店の男性や
テレフォン○ックス業をするオーナー女性など
出番は少ないけど、
それぞれで映画が作れそうなほどおもしろみがあるんですね。
主人公夫婦にはモデルがいるの?
トイレの描写が何度もあるのはなぜ?
夫ヴィクトルがつけたり消したりする、アパートのあのスイッチは何?と
観ながら、監督に聞きたいことがいっぱいになってしまった(笑)
残念ながら、今回は直接取材が叶わなかったのですが
プレス資料に少しは解答が載っていて
1979年生まれのエフゲーニ・ルーマン監督自身が
1990年、11歳のときに
ベラルーシからイスラエルに移住しているそう。
この夫婦の子ども世代にあたるのでしょうね。
で、
あのスイッチは、実際に監督が住んだ家にもあって
「おそらくは給湯器のスイッチ」なのだろうけど、
いまだ謎らしい(笑)。
異文化の象徴として、登場させたのかなあとか。
今後、インタビュー記事がいろいろ出るかもなので
チェックしようっと。
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