ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

生きてるだけで、愛。

2018-11-07 23:20:42 | あ行

 

最初は「なんぼじゃ!」と思った。

でも気づいたら涙出てた。

 

「生きてるだけで、愛。」75点★★★★

 

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寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)は

同棲3年めのカップル。

 

メンタルに問題を抱える寧子は

うつ状態に入るとカオスと化した部屋の布団から出られず

ひたすら眠り続け、

起きられないのでバイトも続かない。

 

出版社に務める津奈木は

そんな寧子にどんなに理不尽を言われても、

罵倒されても

怒ることもなく、ひたすら寧子に寄り添っている。

 

ある日、寧子のもとに

津奈木の元カノだという安堂(仲里依紗)が訪ねてくる。

 

安堂も相当にヤバい感じを醸し出しているのだが

寧子は安堂に言われるがまま、

自立のために、強制的にアルバイトをすることになるのだが――?!

 

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生きてるだけで、ホント疲れる――

名言としかいいようがない

この時代の、この映画、という感じでした。

 

「腑抜けども、哀しみの愛を見せろ」(05年)でも知られ、

16年、ついに芥川賞作家となった本谷有希子氏が

06年に発表した同名小説の映画化です。

 

最初はうつ治療もしないメンヘラヒロイン・寧子が彼氏に迷惑かけまくる――という展開に

「なんぼじゃ!」と思った。

でも、気づいたら涙出てました。

 

「ブラックペアン」の趣里氏、うますぎます。

そして

「なんで、こんな女と一緒にいるんだろう? 」な菅田将暉氏の、

受け身で聞き役に徹する芝居もうますぎます。

 

そして「なんぼじゃ!」のもとは、

リアルすぎるヒロインへの拒絶反応だったのかもと思う。

なんでこんなに寝られるの、というくらい寝まくり、

学校にもバイトにも遅刻し、

もうどうでもいいやーな時代を

間違いなく、自分も過ごしているんですよね。

しかも誰もが周囲に

あるいは自分自身に「うつ」を抱える時代ですから。

 

それにキャラの造作もだけど

寧子の部屋の

布団の匂いがしてくるような、カオス具合もリアルすぎて(苦笑)

「太陽の塔」の関根光才監督、すげえなと思いました。

 

なぜ、津奈木はこんなにも寛容なのか?

この状況を寧子はどうやって、前に進めるのか?

見届けていただきたいす。

 

発売中の「AERA」で

菅田将暉さんにインタビューをさせていただきました。

 

AERAdotでも後に配信されると思います。

映画と併せてご一読いただければ!

 

★11/9(金)から全国で公開。

「生きてるだけで、愛。」公式サイト


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