ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ザ・サークル

2017-11-08 23:41:04 | さ行

明るいトーンが
逆に薄気味悪いんだよね(苦笑)


「ザ・サークル」70点★★★★


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大学卒業後、
地元で冴えない仕事についていた
24歳のメイ(エマ・ワトソン)は

友人の誘いで
超・巨大SNS企業「サークル」に入社することができた。

サークルは、いわばフェイスブックやツイッターの進化形。

全ての人がつながることができる、オープンな社会をめざし
カリスマ経営者イーモイ(トム・ハンクス)のもと
急成長を遂げていた。

理想のオフィス環境と
手厚い福利厚生に夢心地のメイは

あることをきっかけに
イーモイの目にとまる。

そして彼女はサークルの“顔”として
24時間、自分の生活をオープンにする
試みに参加することになるが――?!


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近い未来、とかじゃなく
ほぼ現実だよねコレ、というコワいサスペンス。


「いいね!」欲しさにSNSに自分の日常をアップし
自らプライバシーを世界中にさらしている我々に対し
「わかってます?」
「だいじょぶですか?」と警鐘を鳴らす映画でもあり

そんな現代の監視社会を
「多少のプライバシーは犠牲にしても、犯罪やテロも未然に防げるし、いいことじゃん!」
「自分には、別に隠すことないし!」と、
本気で「よし」とする人々が確かにいるんだろうな、という
さまざまなリアルにゾッとする話でした。

なにより
自身もSNSで積極的に発言をしている
リアル・アイコンであるエマ・ワトソンを主演にした説得力はすごい。

また
「すべてを可視化する」理想を話す
経営者イーモイ(トム・ハンクス)の動機が
病気の息子だったりとか、

「政治家がすべてをオープンにすることで
クリーンになり、世の中がよくなる!」とか


なんだか説得されてしまう
“善意”の武装をしているところが
実に巧妙で(ほめてます。笑)

この問題の微妙さを、非常にうまく捉えていると感じました。

ただ、
すでにリアルに傾いている、この危機をどう回避するか。
その部分が、ちと弱いところが
映画的には惜しいんだけど

現実味があるといえば、これもまたありかと。


監督は1978年生まれのジェームズ・ポンソルト氏。

来週発売のAERAにて
社会学者・古市憲寿さんと監督の対談記事が掲載されます。

選挙とSNS、トランプとSNSなど
現代のソーシャルを斬る内容になっております。

映画と合わせてぜひご覧くださいませ~!


★11/10(金)からTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国で公開。

「ザ・サークル」公式サイト

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