ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

92歳のパリジェンヌ

2016-10-28 23:18:15 | か行

なんと、実話。


「92歳のパリジェンヌ」74点★★★★


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マドレーヌ(マルト・ヴィラロンガ)は
パリで暮らす92歳の女性。

息子や娘たちも成功し、孫もいて
その人生は幸せに思える。

その日、マドレーヌは
娘のディアーヌ(サンドリーヌ・ボネール)の家で行われる
自分の誕生日パーティーに向かっていた。

しかし
最近は車を運転しても視界がぼやけ
周囲のスピードについていけない。

そして
祝福ムードたっぷりのパーティーで
マドレーヌは言う。

「今まで本当にありがとう。でも、もう体がしんどいの。
2カ月後に私は逝きます」

そう言われた家族は
静かなパニックに陥り――?!

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自分で自分の“死ぬ日”を決める。

この映画のテーマを知ったとき
なんともうらやましい勇気だと思った。

でも見る前は
それって理想だけど、自分にそんな勇気はないだろうと思っていた。

しかし、観たら
「もしかしたら、自分にもできるかもしれない」と思った。

それで、逆に勇気が出たんですよ。


自分がいつまで生きるかわからないから
病気や仕事や年金や将来が不安なんだ。

でも「自分で死ぬことを決められる」と思えば、
なんだか吹っ切れるというか
生きる勇気も湧いてくるっていうか。


映画に
「心臓発作になって『これで死ねる!』と思ったら、
余計なお世話で救急医療を施され、
いまや病院に監禁されてるんじゃよ』と話すおじいさんが出てくるけど
ほんとに、いまの状況って、その通りだと思う。

同じ感じ方をする人もいるかもしれないから
この映画、ワシはぜひオススメしたいです。


でもね、実際
これだけの意思と勇気は、なかなか出ないですよ。

でも、話が進むと
彼女がどういう人物だったかがわかって
納得。


さらに実話が基だと聞くと
「おおっ」とギアが入る。


そして、やはりこの映画、
男性の感想は、あまりよくないらしい(苦笑)

映画のなかで
母親の決断を聞いたあとの息子と娘それぞれの反応そのまんまのようで
実に興味深い(笑)。

この兄貴だって自分なりに
母を愛しているのだけれどね。

映画全体は
テーマほどに重くないし
爽やかさすらある。
最後にはボロボロ涙腺、きましたけど(笑)


★10/29(土)からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

「92歳のパリジェンヌ」公式サイト

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