ロマン・ポランスキー監督。その技、冴えまくり!
「告白小説、その結末」75点★★★★
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自ら命を絶った母親との生活を綴った私小説で
人気作家となったデルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。
しかし、周囲の期待とうらはらに新作の構想は進まず、
憂鬱な日々を送っていた。
ある日、デルフィーヌはパーティー会場で
自分のファンだという美しい女性エル(エヴァ・グリーン)と出会う。
自然な口調で話しかけてくるエルに
思わず心を開き、楽しい会話を交わすデルフィーヌ。
さらに数日後、偶然なのか、エルが向いのアパートに引っ越してくる。
実はエルは、セレブの伝記を代筆するゴーストライターだった。
自分を気遣い、励ましてくれる
エルの優しさに
次第に心を開いていくデルフィーヌだったが――?!
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売れっ子女性作家に近づく美人ゴーストライター。彼女の目的は――⁈というストーリー。
ずばり「ゴーストライター」(10年)という
傑作を持つポランスキー監督。
このテーマにかなり思い入れがあるようです。
そして、鑑賞後感はというと
ああ、怖い怖い。
結局のところ、謎が残りまくりなのが、
この女VS女の構造では、逆に効果を発揮してます。
ゴーストライターであるエルは、なぜ売れっ子作家の前に現れたのか。
1)作家に成り変わりたかったのか?
2)自分の力量では書くことができない、自分自身の私小説を
彼女に書いて欲しかったのか?
3)いや、本気で、デルフィーヌの才能に惹かれ、
その能力をもっと引き出したかったのか?
4)ファンが高じた単なるストーカー?!
凡人は1)を思ってしまうんですが、いやいやそーんな単純なものではもちろんなく
結局、エルの目的は何だったのか、はっきりと描かれないんです。
エルはまさにゴーストの如く、
スランプに陥った作家の人生に現れ、消えていく。
ラスト、しっかり「仕事」も果たして、ね(笑)
全編がずっと不穏で不快なサスペンスだっただけに、
ラストのこの収まりの悪い、奇妙な愉快さが
たまらなく可笑しいのですよ。
ライターと作家の間には、近そうにみえて
マリアナ海溝のような深~い深~い谷がある。
それは自立か依存か、仕事か恋愛か、自己実現第一か、私生活重視かetc…
「種族の違う」女と女のあいだにも、然りなんだけど
まあ、この二人はそういう意味で
かなり近似値にいるからこそ
その緊張の構造が強まるんですよね。
主演のエマニュエル・セニエは言わずと知れたポランスキー夫人ですしねえ。
常にいろいろ問題になってるポランスキー監督ですが
ホント、わかってるよなアと思わずにいられないです、ハイ。
★6/23(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。
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