大地とともに生きる彼らの復興への道のりの、
なんとシンプルで、力強いことよ!
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「世界でいちばん美しい村」71点★★★★
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2015年4月に起こったネパール大地震。
約9000人の犠牲者を出した大震災の
震源地となった村の1年を写したドキュメンタリー。
カメラマンとして現地にいち早く入った
写真家・石川梵氏が初監督しています。
いわゆる「被災地ドキュメンタリー」とは
これもまた異なる作品で
村の少年アシュバドルと、彼の家族
そして村に尽くす一人の看護師を追うことで、
村人たちの再建への歩みを見つめている。
まず、このアシュバドル少年が、すごく魅力的。
利発そうな、でもまだ幼さも残るカワイイ男の子で
寒い朝、もぞもぞ起き出して
足元ビーサンで外に出て、コップの水で顔を洗う。
妹とじゃれ合ったり、動物たちとじゃれ合ったり、
無邪気な兄妹の様子も微笑ましく
そんな日常風景だけで
引き込まれてしまいます。
山奥にある村は
家もみなペシャンコだし、道路も寸断されているし
家族を亡くした人も大勢いて
もちろん深い傷を負っているんですが
でも、そこでの日々は
あきらかに前を向いている感じ。
男も女も子どもも、
新しい家のための建材を運んだり、とにかく一丸となって、よく働くんですね。
畑を耕し、家畜を飼い、常に家族で集い、
村中がひとつになって祭り事を楽しむ。
そんな
シンプルでプリミティブな暮らしの尊さがここにはある。
そんなふうに大地と寄り添って生きる彼らの再興への道のりは
まるで、草木が荒れ地から再び芽を吹くような力強さに満ちていて
畏敬とともに、
なんだか見ているこちらにも、力が湧いてくるんです。
これ、不思議。
政府は村を
高台に移転することを決めるんだけど、
それでも
「私はここで生まれて、死にたい」と
村に留まるお年寄りたちもいる。
そんなところも
まさに、日本の震災後の状況と重なって
いろいろ感じいるところ、ありました。
来週3/28発売の『週刊朝日』で
映画に賛同し、ボランティアでナレーションを担当されている
倍賞千恵子さんと、石川梵監督の対談を取材しました。
全国公開に先駆けて
東北の被災地での上映活動も行っていらっしゃるお二人が
「いまこの映画が、日本に何を伝えてくれるか」を
じっくり語ってくださっています。
ぜひ、映画と合わせてご一読くださいませ~。
★3/25(土)から東劇ほか全国順次公開。
「世界でいちばん美しい村」公式サイト
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