ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

マイ・ブラザー

2010-02-27 15:30:09 | ま行
トビー・マグワイアが
ゴールデングローブ主演男優賞にノミネートされた


「マイ・ブラザー」79点★★★


美しい妻(ナタリー・ポートマン)と
幼い2人の娘を持つ
優秀な兄(トビー・マグワイア)と
刑務所帰りのオチこぼれな弟(ジェイク・ギレンホール)。

家族の厄介者的な弟を
優しい兄はなにかとかばってきたが

そんな兄が戦地で帰らぬ人となってしまう。

残された家族が
懸命に再生をはかろうとしたとき
なんと
死んだはずの兄が帰ってきた――。


デンマーク映画「ある愛の風景」(04年)を
リメイクしたという作品。

なかなか想像力をかき立てられる筋書きです。


兄が体験する戦場の描写は
イマイチ迫力不足だけど

家族が食卓を囲む
それこそ「ホームドラマ」なシーンに
秀逸さがありました。


それに
マグワイアとギンズバーグ演じる兄弟だけでなく
幼い姉妹の関係性や感情も
しっかり追っているのがいい。


妹の誕生日会でお姉ちゃんが
「妹ばっかり!」
感情を爆発させるシーンとかね。


すなわち
比較されたり、うらやんだり
疎ましかったり、誇りに思ったり。

近しい人間の間にわき起こる
微妙な感情をていねいに描いてある
いいドラマでした。


監督は
「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」でも
幼い姉妹のこころの機微を
上手に描いていた人。

なーる。納得。


でも構成のバランスに不満あり。

105分のうち
起承転結の転、結、をもう少し増やし
あと20分長くてもよかったなあ。


★6月からTOHOシネマズみゆき座ほか全国で公開。

「マイ・ブラザー」公式サイト(coming soon)

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やさしい嘘と贈り物 | トップ | RAILWAYS »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
もう20分 (三本毛)
2010-02-27 16:06:36
長くていいなんて、番長には珍しい発言。
構成に不満。あるねそういうとき。
ワタクシが昨日まで読んでいた小説も、分厚いのに、最後は「あ、ここで終わっちゃうの?」っていうあっけなさ。
まあ、この方の書く小説はけっこうそうなんだけどね……。十分長い小説だから、もう少し長くしてもいいのにとは思わないけれど、あそことかこことかもっと簡潔にして、もうちょっと最後まで書いてくれないかな~と思う。
惜しいんです。構成のバランスは大切。
返信する
ああ (ぽつお番長)
2010-02-27 17:11:16
あの
○○さんの時代小説。

ここんとこずっと
「ブツッ」終わりが多いんじゃない。

本人のなかでは
マイブームなのかね。


返信する
元気~? (モー子)
2010-02-28 17:11:50
久しぶりすすす。

さぶいすす。

布団からでられないす。


なのでコメント(笑)



モー子はなんとか生還したよ♪


今日からまた死ぬけどね…(泣)


なぜにこんなに忙しい?


せっかくアカデミーの会員になったのに、会員証が使える映画館に行くヒマもないもん。


もっぱら行くのは、イケメンくんと、夜のTOHOシネマズ六本木か、新宿バルト9 26時30分~とか。

ここ1ヶ月くらいでは、

“ゴールデンスランバー”と“かいじゅうたちのいるところ”を観たよ。


“ゴールデンスランバー”は、…難しかったな。

きっと小説のほうが数倍面白いんじゃないかと思った。

ラストのどんでん返しも、伏線は張ってあるものの、映画の時間軸の中に入れてしまうと“こじつけ”と言うか、ちょっとウソくさく感じた。

“短時間で、そりゃムリでしょ!?”とかね。


サブキャラ“キルオ”の人物像も、小説ならそれぞれ読者の想像力に委ねられるところが、

映画だと、かなり明確に見えてきてしまう。

その時に、あのニュアンスでよかったのか?

なぜ主人公に肩入れする“キルオ”がいるのか?

ただの気まぐれなのか、面白半分なのか?…それとも、もっと深い闇を抱えていながら、見せないだけなのか?

不思議なキャラだけに、ストーリーの中にいれば、それだけで面白いんじゃないかという作り手の浅はかさが感じられ、描き方が中途半端だった気がする。



まあ、あとは…カイジとかもそうだけど“インテリ・ワルいヤツ”=香川さん って配役は見飽きたね。

おなかいっぱい。

みんな同じに見える。

いい役者さんになってきたのに、もったいないよね。

ポン・ジュノの“TOKYO!”での、引きこもり男とか、弱っちくて好きだったケドな。


“ゴールデンスランバー”で唯一泣けたのは伊東四朗さんの台詞

“オマエら、あいつの何知ってるんだ!! オレはあいつが産まれた時から知ってるんだよ!!

母親にしたら、お腹にいるときからだから、もっと長い付き合いだ!

だからあいつがやってないのはわかるんだよ!!



いいか、おまえもこの放送見てたら、

いいからちゃっちゃと逃げろ!”

カメラに囲まれ、レポーターに責められてのこの言葉、父の愛情が本当によく出ていて…ぐっときた。

ちゃっちゃと逃げろ!


最高に息子を信じてる一言…(泣)


そこはよかったなぁ。

唯一の涙ポロリ・ポイントでした(笑)



そして!

“かいじゅうたちのいるところ”

モー子もイケメンくんも、もう夢中になって観ましたよ!!

夜中の26時30分から(笑)


番長、寝たって言ってたのが、全く信じられません。


あんなに、深くて、繊細で、大切なモノがたくさん詰まった“宝箱みたいにキラキラした”素敵な映画…

今のモー子にはまさに“ツボ”


寝るどころか、一緒に遊びたかった!

壊して、叫んで、転がって、疲れたらみんなで折り重なって寝て…

今、やりたいことの全てが詰まっていた。


モー子は子供に帰りたいんだな、きっと。

マックスと同じ。



もっとちゃんとしなさい!

少しは大人になりなさい!!



…そういわれても、まだ自分の想像の世界で遊んでいたい。

いつまでも子どもで、甘えていたい。

お母さんやおねえちゃんに、自分のコトを見ていて欲しい…。



なのになんで?

みんな大人になれと言うの!?


…みたいな気分。



一緒にマックスと叫びたかった。
走り回って、何もかも壊してしまいたかったよ。



モー子だってまだ子どもでいたいんだーって!


世界の王様でいたいんだーって!


お母さんにかまって欲しくて、仕事中のお母さんのデスクに潜ってストッキングを摘まんでは伸ばすシーン。

おねえちゃんに遊んで欲しくて、でも知らん顔されてみんなに置いてかれ…独りぼっちで悔しくて、

部屋を壊しちゃった罪悪感で泣いちゃうシーン。


どれも“わかるよ!マックス!!”



キャロルの、やり場のない苛立ちも…それが原因の孤独感も、共感できた。

それをわかっていながら、距離をおかざるを得ないKWの切なさも…。


そんな二人をそっと見守りながら、この島で生き続けるかいじゅうたち、それぞれの人生… それぞれの悩み 確執…


それが

“ぼくは世界の王様だ!”という、ただのオオカミの寝巻きを着た男の子との出会いと別れによって、

みんなが少しだけ変わっていく…。

ほんの少しだけ。



マックスも無事家に戻り、なんでもない食事を食べる。

そんなマックスを見て安心のあまりつい、うたた寝をしてしまった母親…

そのやすらかな寝顔を見て

少しだけ、大人になってもいいかと思うマックス…。



涙ボロボロでしたよ、モー子もイケメンくんも。


でも、番長はじめ

飛行機の中で見てとか、意外と途中で寝た人が多くて、マジびっくり…。


モー子は夢中になりすぎて、10万円のバックスキンのラビットファーのコートに

いちごサンデーが、ボタボタ垂れてたのも気がつかず…のめり込んでましたからね♪



例の“アバター”の364度逆を行く映画だと、モー子は思いました。

“アバター”はやっぱり、映画というよりエンターテイメント。

長ーいアトラクションに近いよね。

ストーリーの浅い深いなんて関係ない。

とりあえず、ある水準の“みんなが喜ぶ要素”を入れていればいいと思っている。



“ロミオ&ジュリエット的な恋愛”

“アクション”

“悲しい別れ”

“ハデなラスト・ドンパチ”

“いいモンが勝ち・悪いもんは負ける”

“とりあえすハッピーエンド”



そのハナシをベースに、とにかく新しい機材を開発研究。

今回はCGキャプチャーの方法を飛躍的に高めた。

そして、3Dの普及。


映画の質感、トーンより、臨場感を選んだあたり、やっぱりこれはアトラクション。


ここまで動員数が伸びたのは、普段映画館で映画を観ない人も、観に来た。

映画を観るんじゃなく、ディズニーランドに行く気分なんだよね。

そこは、キャメロンの商売上手なところ。


今後、“アバター”で開発した技術を各方面に小出しに提供。

お金を取って、また次の大作を撮る…って言う繰り返し。


映画・ヤクザだね(笑)


まあそれは、カレのスタイル。

やりつづければ、業界の技術の活性化にもつながるから、一概にワルい面ばかりでは決してない。


むしろ、そういった新しい技術を他の監督がどう消化し、違う表現としてアウトプットしていくのかのほうに

モー子は興味があります。


“アバター”みたいに、これ見よがしな表現として使わない、

クレバーな表現も絶対でてくるハズだから。




それに対して、

“かいじゅうたちのいるところ”

これは話が本当に深く、とても丁寧に、繊細に描かれている。




さらに

“アバター”がキスシーンをヌチャヌチャいつまでも直接的な表現で見せているのに対して

“かいじゅうたちのいるところ”は、

父親がいないこと、

キャロルがなぜ憤っているのか?

キャロルとKWの仲…

すべてを解説しない。絵解きしない。


観客の想像力に委ねるところをちゃんと作っている。

これこそ、映画の楽しみなんじゃない?



技術面の話でいえば、

“アバター”を観た人は100人いれば100人が

“スゲー、あれどうやって撮ったんだろう!?”

って思ったと思う。


それは、博覧会での観客のコメントだよね。

技術にびっくりしてるだけ。



でも

“かいじゅうたちのいるところ”は、

少なくともモー子とイケメンは、かいじゅうたちが何でできているかなんて、もはやどうでもよかった。

それくらい、キャラクターのいる意味がハッキリとしていたし

ストーリーの中に自然と現れた。

だから、なんの不思議もなく受け止められた。


かいじゅうたちは、かいじゅうたちで

最先端の高度な技術を使っている。

でもそれを、声高に、映画の前面に持ってこないという

監督及び技術者の判断がきちんとある。


だからそれが、観客にも伝わって、読後感のまず最初に

“あのキャラクターってどうやってるの?”

って言うハナシにはならない。


実はそれ、スゴく大切なコトだと思う。


好き嫌いはもちろんあるし、それがあるから

この世は成り立っているわけだから、

“アバター”大好き!でも、

“かいじゅうたちのいるところ”に感動!!でも、

最終的にはどっちでもいい。



でも、モー子はディレクター。

イケメンくんは役者。


そういった細かいコトも感じながら、自分の成長の糧にしていかなきゃいけない。



ただの娯楽で観られた昔が懐かしい(笑)



でも自分が選んだ道だから、仕方なし。


頑張るよ!




今度は“パルナサス”を観る約束なんだけど…

最近終わるの早いよね!?


バタバタしてる間に終わっちゃう!!
返信する
生還 (ぽつお番長)
2010-03-01 01:34:52
モー子さん
生還おめ、です。

デブログでも
「かいじゅうたちの~」を絶賛してたね。


たぶんねえ
番長はもう

食卓の下を基地にしてたような
あのころの感性を
卒業してしまったんだと思うよ。

大きくてあったかい“親”的な
確かな存在に
守られているような
涙はもう流せない。


最近泣けるのって
若者の純粋ながんばりや
人の限りない善意に触れたときか、だなあ。


特に最近は
「17歳の肖像」とか「プレシャス」とか
「ローラーガールズ・ダイアリー」とか
ティーンエイジャーの
苦悩と模索が完全にツボ。

あとはね
老夫婦の行く末。ハハハ。くっ。泣ける・・・

同じように年を取っても
違ってくるものですねえ。
返信する
初めまして~ (robanosocks)
2010-05-25 10:33:29
こんにちは~
たまたまたどり着いたら、作品の評価点数がまったく同じだったので、思わず感激☆
オリジナルのほうは、結構地味目な通好みな作品でしたけど、本作ではキャストも華やかで、それでいて演技もすばらしかったように思います。ストーリー的にはほとんど一緒でしたが、私的にはオリジナルの脚本のほうが共感出来ました。
返信する
コメントうれしいです (ぽつお番長)
2010-05-26 00:15:49

robanosocksさん
はじめまして。

コメントありがとうございます。

ホントにおんなじ79点!なんか感激(笑)

ブログも拝見させていただきました。
ニュースもネタも満載でスゴイ!

参考にさせていただきます。

robanosocksさんのブログで
「マイ・ブラザー」オリジナルの
場面写真を見て
「これ、絶対見た!」と思い出しました。
でも中身、ぜんぜん覚えてないんですよ・・・

こんな番長ですが
今後ともどうぞよろしくお願いします。
返信する

コメントを投稿

ま行」カテゴリの最新記事