ティモシー・シャラメ×スティーヴ・カレル。
ラストのブコウスキーの詩も、グッと効くなあ。
「ビューティフル・ボーイ」72点★★★★
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著名な音楽ライター、デヴィッド(スティーヴ・カレル)はいま
息子ニック(ティモシー・シャラメ)のことで
深刻な問題を抱えていた。
ニックは成績優秀で6つの大学に合格し、スポーツも万能。
デヴィッドと再婚相手との間に生まれた幼い弟たちの良き“兄”でもあった。
そんな“理想の息子”だったニックは
いまやドラッグ依存に陥っていたのだ。
ニックが何かをしでかすたび
警察に病院に迎えにいくデヴィッド。
そのたびに「もうやらない」と言う息子を信じてきたデヴィッドだったが――?!
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深刻なドラッグ依存症に苦しみながら
のちにNetflixのあの「13の理由」脚本家となった
ニックの実体験を基にした物語。
ティモシー・シャラメがドラッグに墜ちていく息子を演じ、
ボロボロになりつつも、その根源の“美しさ”を感じさせる様が
大きなポイントになっとります。
彼じゃなきゃこの映画、辛すぎたかもしれない。
さらに大きな特徴は映画が、息子ニックの状態に苦悩する
父親の視点で描かれていること。
というのも実はこの話、
ニックと、父がそれぞれに当時を振り返った回顧録がベースになっているんです。
なるほど!と納得でした。
あんなに美しかった息子が、なんでこうなってしまったのか?
――と、息子同様に苦しむ父親の苦悩が、あまりにリアルで
しかも、演じるスティーヴ・カレルがこれまでにないほどよかった!
カメレオン役者で、演技派なのは重々承知だけど
どうも「声がでかい」「人物造形法が大きい」印象があったんですが
いや~今回は心震えました。
それにしても
「もうドラッグはやめる」と言いながら
延々と立ち直れず、何度も同じ過ちを繰り返す若者を見るのは
やはり観客にとっても辛いもの。
でも、次第に、問題が「ドラッグ」にあるのではなく
「問題」のほうが先にあるんだ、とわかってくる。
ガス・ヴァン・サント監督の新作「ドント・ウォーリー」(5/3公開)では
主人公が抱えるアルコール依存の原因が
ある「問題」にあるのだ、とわかるし、
ルーカス・ヘッジズがやはり薬物依存の若者を演じる
「ベン・イズ・バック」(5/24公開)でも、同じ。
こうした作品が教えるのは
根源にある「問題」と本人が向き合い、周囲はそれをいかに理解し、支えるか、ということ。
そのプロセスこそが
重要だ、ということなんだと思います。
エンドロールに被さる
チャールズ・ブコウスキーの詩の朗読が、また沁みるんですよねえ。
結局、解決の術は、当人しかない。
でも「それ」が訪れるときは、必ず来る。
そう信じたくなりました。
そして、映画.comさんにもレビュー掲載されております。
ぜひ、映画とあわせてご一読くださいませ~
★4/12(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
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