ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

真夜中のゆりかご

2015-05-11 23:53:40 | ま行

スサンネ・ビア監督によるミステリー。


「真夜中のゆりかご」71点★★★★


*************************


現代のデンマーク。

刑事アンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)は
湖のそばの瀟洒な家に
妻(マリア・ボネヴィー)と生後数ヶ月の息子と暮らしている。

ある日、アンドレアスが
薬物依存の前科者と、その恋人の家に踏み込むと

そこには汚物まみれで放置された
赤ん坊がいた。

家に帰っても
赤ん坊のことが離れないアンドレアスだったが――。


*************************


「しあわせな孤独」(02年)から
スサンネ・ビア監督とコンビを組んでいる
脚本家アナス・トーマス・イェンセンとのタッグ再び。


ハンサムな刑事と美人妻、赤ん坊の幸せ家族と
薬物依存の前科者と、DVされても逆らえない恋人、
汚物まみれで放置されている赤ん坊という

二組のカップルの格差が強烈で、
そこに生まれる悲劇には
社会としての“悲劇”も含まれていて、

不穏の予感で終始引きつけるんですが
なんともやるせない話ではあります。

で、
今回はミステリーなので
何も知らずに観たいかたは
このへんでストップしておいたほうがよいですねー。






まず何が起こるかというと
刑事の赤ん坊が突然、死んでしまう。

刑事は
「あの子は死んでない!」と取り乱す妻をなんとかしようと
育児放棄されている赤ん坊と、死んだ息子を取り替えてしまうんですよ。

あり得ない!とは思えないところが大ミソで
だってあんな状態で放置されている赤ん坊、
あの場所にいない方がいいに決まってるもん!

で、刑事は
妻を騙すのかと思いきや、そこは正直に話す。
当たり前か。そりゃ親なら違いに気づくよね。


でも、それは相手方のダメそうな母親だって同じ。

「死んだのはあの子じゃない」という母親ならではの確信が
「こんなはずじゃなかった」という刑事のろうばいになり
スリルを盛り上げるんですね。

さらにさらに
意外な真実も明らかになり・・・・・・?!


なかなかの本格ミステリーです。


何が正義なのか?を問いかけ
社会の問題をも突き刺しながら
人の心や悲しみを繊細に描写していく
監督の力はゆるぎないんですが

「未来を生きる君たちへ」(10年)を思うと
スサンネ・ビア作品としては、
いちストーリーのうちに留まった、やや小さい感じはする。

あとね、DNA鑑定すりゃすぐバレちゃうじゃん?とかも
ちょっと思った。

まあオチはそこではなく
ここまで読んでいただいても、まだまだミステリー本の中盤ってとこなので
楽しめると思います。


★5/15(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「真夜中のゆりかご」公式サイト

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ブラックハット | トップ | 駆込み女と駆出し男 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おもしろそう! (たらっと)
2015-05-14 23:09:37
すんごくおもしそう!!

週末に見に行ってみますね( ´ ▽ ` )
返信する
ぜひ! (ぽつお番長)
2015-05-15 21:05:29

たらっとさん
コメントありがとうございます。

そう言っていただけると
嬉しい!です。

ぜひ劇場で
お確かめくださいませ。
返信する

コメントを投稿

ま行」カテゴリの最新記事