ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

もったいないキッチン

2020-08-08 15:19:57 | ま行

ほんわか優しく、明るいタッチがいいね!

 

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「もったいないキッチン」71点★★★★

 

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捨てられる運命の食材を救済し

美味しい料理にする試みを追ったドキュメンタリー「0円キッチン」(15年)

オーストリア人監督ダーヴィッド。

 

公開時の日本プロモーションで通訳をした

ニキさんとパートナーとなり、

このたび二人で

日本の「もったいない」事情を探る旅に出た、のが本作です。

 

ほんわか&よっこら、なムードで

問題提起!改革!とか怖い感じはまるでなく

明るく楽しみつつ、何かを得られるドキュメンタリーです。

 

 

まだまだ食べられる食品が

消費期限切れなどで大量に廃棄されている、という現実は

多くの人が知っていると思う。

だから

「スーパーで買い物をするとき、奥にあるパンや牛乳から取るのはダサい」と思うし

できるだけロス削減を実践しようと、

ワシも含め多数が意識してるんじゃないかな、と感じている。

 

なのでまず、この映画を観て

数年前と比べると、廃棄食品事情はかなり周知され、

アクションを起こしている人もかなり多いんだ、ということに、

希望と喜び、驚きがありました。

 

家庭の冷蔵庫の抜き打ちチェックでも、けっこう無駄がなかったり

食材を無駄にしない農家レストランや

住職の作る驚きの精進料理などなど

福島から鹿児島まで、さまざまな人が、がんばっている。

意識は変わりつつあるんじゃないかなと。

 

が、それでも

日本人全員が1日おにぎり一個を捨てている計算になるそうで、

まだまだできることはあるなと考えさせられた。

 

一番感じたのはやはり

いち消費者の意識だけではなかなか改革できない

「売る側」の廃棄事情。

 

企業は「お客さまが要望するから」と、

安全性を考えて消費期限を設定するし、

 

コンビニも「安全のため」、期限切れの食品をどんどん捨てる。

さらに「欠品恐怖症」ゆえ、どんどん補充され

またどんどん捨てる、というロスの悪循環。

 

作ってる人、売る人、買う人

当事者一人一人は決して悪人じゃないし

食べ物を捨てたいなんて思っている人はまずいないんですよね。

 

それでも企業は

クレーム恐怖症、事故恐怖症、欠品恐怖症に陥ち入りすぎてないかと。

で、それをさせたのは、まぎれもなく消費者である我々なんだと

観ながら思いました。

 

しかし我々はもう、変化を受け入れる準備はできているのではないか。

「食べものを捨てることに、罪悪感がない人はいない」というナレーションのとおり

この精神を失くさず次へ行こう!と

明るく、思えるのでありました。

 

まずはパンも牛乳も手前から買おう・・・買わねば・・・

 

★8/8(土)からシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。

「もったいないキッチン」公式サイト

コメント (2)
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