ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

グッバイ、リチャード!

2020-08-23 16:22:18 | か行

ジョニー・デップの、いまここが境地――かなw

 

「グッバイ、リチャード!」70点★★★★

 

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大学教授のリチャード(ジョニー・デップ)は

ある日、がんで「余命180日です」と告げられる。

 

自覚症状もなく、仕事も順風満帆、

美しい妻(ローズマリー・デウィット)と娘(ゾーイ・ドゥイッチ)に囲まれ

理想の暮らしを送っていた彼にとっては青天の霹靂。

 

「なんでやね~ん!!!」と絶叫した彼は

さあ、そこからどう生きるのか?

 

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ガンで余命宣告された大学教授が

人生を見つめ直す物語。――と書いてしまうとありきたりに思えるんですが

ジョニー・デップの、あの目力(めぢから)や毒気が

よい意味で抜けた、ナチュラルなダメさに見入ってしまった。

 

残り少ない命、どうせ先がないんだ、弾けてやる!――とはちょっと違って

リチャードは

力むことなく、限りなく正直に「自然体」になっていく。

 

 

寝っ転がって授業をし

ハッパを吸い、酒を飲み、親友とグダグダ話をする。

娘の、ある告白にも

「え?まあいんじゃね?そういうこともあんじゃね?」な感じw

 

それは彼自身が青春を送った時代に

「ホントは、こう生きてみたかったナ」というモデルなのかもな、と思う。

そんなリチャードに

ジョニデ自身がなにやら重なってしまうというか(笑)。

なんか、自然でいいなあと。

 

リチャードは親友一人にしか病気のことを打ち明けないので

ほかは誰も彼がそうなった理由を知らないんですが

それでもゼミの学生たちや、彼の娘ら若い世代が

リチャードの変化を好意的に受け入れる、ってとこもポイント。

 

大人の鎧を脱ぎ捨てて、素直に、正直になった人は

若者たちに、ある処し方を表すことができるんでしょうね。

 

そんなリチャードに寄り添ってくれすぎる(笑)

親友役、ダニー・ヒューストンもいい味だしてます。

 

終わり方も、悪くない。ないんだけど

やっぱ、1点だけひっかかってしまうのでありました――

置いていこうよ!

 

★8/21(金)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。

「グッバイ、リチャード!」公式サイト

コメント (2)
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