偏屈な天才理系キャラは
やっぱりカンバーバッチのはまり役。
「エジソンズ・ゲーム」69点★★★★
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1880年のアメリカ。
蒸気機関車が最先端で
明かりはまだ、ランプだった時代。
真っ暗な草原に、集まった人々の前で
電球が次々とついていく。
驚きのプレゼンテーションをしたのは
トーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)。
天才発明家として知られていた彼は
「これからは電気の時代だ!」と高らかに宣言する。
そして1882年。
電気でアメリカ中を照らそうとするエジソンの前に
裕福な実業家ジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)が立ちはだかる。
ウェスティングハウスは大量の発電機が必要な
エジソンの「直流」方式の送電法よりも
発電機一台で遠くまで電気を送ることができ
より安全な「交流」方式のほうが優れていると考えていた。
ウェスティングハウスは
やはり「交流」のほうが効率的だとする
発明家ニコラ・テスラ(ニコラス・ホルト)を引き入れ
エジソンに対峙する。
こうして全米を巻き込む「直流か」「交流か」の
電流戦争が幕を開けた!
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ゲーム、というタイトルから
推理炸裂&頭脳バトル、なイメージを勝手に描いてたんですが
意外にマジメな伝記物、でした。
いまとなっては当たり前の「電気」をめぐって
こんなバトルがあったんだ!という驚きもあったけど
なにより
誰もが名前は知ってるあのエジソンが
こういう人だったのか!を知ったのが
とてもおもしろかった。
カンバーバッチもインタビューで同じことを言ってたので
誰にとっても、やっぱりそうなのでしょう。
脚本家はものすごーくリサーチをしたそうで、かなり史実らしい。
エジソンという人は
お金には興味なかったけど、
名声、というか、「誰が最初にやるか」みたいなことには
すごーくこだわりを持つ人だったとか、
「ひらめいた!」となんでもかんでも発明する、というより
いろんな人のアイデアや才能を
うまくまとめて、形にする、という能力にも長けていたことがわかる。
そんな偏屈な天才理系キャラに
やっぱりカンバーバッチはぴたりとハマるなあと
思いました。
エジソンと対峙する側となる
美形の天才発明家テスラ(ニコラス・ホルト)や
気難しいエジソンと秘書(トム・ホランド)とのバディぶりなど
萌ポイントもたっぷりw
「闇」を美しく魅せ、意識させるシーンが多く
いまとなっては当たり前の電気のありがたみを
再確認しました。
ただ正直、もうちょっと
ドラマの見せ方がうまいとよかったなあという感じ。
でもね、この映画も
またいろいろいわくがあって
あのハーヴェイ・ワインスタインが監督に再三要求を出してグネグネにした結果、
セクハラ問題でいなくなり
監督はボロボロになり、全米公開は延期。
公式サイトに「日本公開の上映バージョンについて」というインフォがあるのは
この公開作が、ワインスタインの圧がのしかかった版ではなく
監督がそののちに再編した「ディレクターズカット版」なんです、ということを
意味しているのですね。
ここにも「闇」があったのかと
思うのでありました。
★6/19(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開。