思いがけず、泣きました。
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「なぜ君は総理大臣になれないのか」73点★★★★
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論理的で、切れ味鋭く、
なによりまっとうな意見をスカッと述べてくれると
SNSでも話題になっている
衆議院議員・小川淳也氏(49)。
その小川氏の17年間を
同世代の大島新監督が追った渾身のドキュメンタリーです。
2003年、自治省(現・総務省)のエリートコースを進んでいた彼は
家族みんなの猛反対を振り切って
ただ一心「社会をよくしたい」思いで、政治の道へ飛び込んでいく。
たまたま監督の奥さんが、小川氏の高校の同窓だったことから
監督は、小川氏のもとを訪ね、
民主党から出馬した彼の選挙戦を取材しはじめるんですね。
金にも、名誉にも興味ナシ。
本気で国をよくしようとしてる小川氏は
05年になんとか初当選を果たす。
しかし
そのまっすぐさゆえに、
いわゆる「政治力」がものを言う世界で(しっかし、皮肉な言葉だよなあ、これ)
身動きできない現実を前に、疲弊していくんです。
志ある若者に
「結局、政治に必要なのは、誠意や正義ではなくしたたかさ、なのか?」と言わせてしまう、
政治という世界の恐ろしさよ!
真摯な正義と志を阻む、この現実を
今こそ直視すべきです。
そして09年の政権交代、震災、そして12年からの第二次安倍政権発足、
さらに民進党と希望の党のゴタゴタ騒ぎに巻き込まれる
小川氏を見ながら
我々は、つい最近まで体験していた
日本の政治を改めて振り返ることになる。
そう、コロナ禍でなんだか盛り上がってる小池都知事が
3年前に何をしたか?
いや、小池氏を応援したことなど一度もないですけど
希望の党代表としての「排除」発言で、
すべてを水泡に帰させた、あの壮絶ながっかりを、
「なんだか、ちょっと忘れてた?!」と
自らの愚かさに、ハッとさせられた。
そんなゴタゴタに巻き込まれ、
最大に心を折られながらも
小川氏は、まだ諦めないんです。
でも、外から見れば「党をコロコロ変えて」としか見られない彼は
地元の街角で、有権者から罵声を浴びせられたりもする。
そんな姿をみて、思いがけず、泣けてきた。
どれだけ心を折りながら、やっているか、
やっぱり、わかろうとしない人には、伝わらないのか。
でも
こういう映画がなければ、ワシだってわからなかったかもしれない。
この映画を観る人が
小川氏を応援せずとも、それはそれでいい。
それでも、この映画を見て、彼の家族を見て、
なにより、選挙に行かないことがどれだけ罪なことか、だけは知ってほしい!と
強く思いました。
AERA「いま観るシネマ」で大島監督にインタビューさせていただいております。
いまこそ、風が吹くことを願いながら
ぜひ、映画と併せてご一読いただければと思います!
★6/13(土)からポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで公開。