ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

2018-12-28 23:58:49 | か行

大泉洋氏、すごい。

この不遜とチャーミングの両立は彼にしかできない。

 

「こんな夜更けにバナナかよ」73点★★★★

 

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1994年、北海道・札幌市。

34歳の鹿野靖明(大泉洋)は

幼少期に筋ジストロフィーという難病を患い

いま動かせるのは首と手だけ。

 

人の助けなしには生きていけないのに、

彼はわがままで、ずうずうしく、まあよくしゃべる!(笑)

そして

周りには、なぜか彼をケアするスタッフが絶えないのだ。

 

そんなある日。

たまたま鹿野の家に居合わせた美咲(高畑充希)は

鹿野に夜中に「バナナが食べたい!」と買い出しに行かされ、

そのもろもろの無茶ぶりにあきれかえる。

「障がい者って、そんなにエライの?」

思わず、キレた美咲だったが――?!

 

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ほへえ、大泉洋氏、すごいじゃん!大きくはぜたなあ!と、

いえ、決して上から目線ではなく

本当に感心しました。

 

主人公である鹿野さんは

人の助けなしに生きられないのに、傍若無人(笑)

彼のあまりの不遜さ、人使いの荒さに、

最初は、観客も違和感を持つと思う。

 

でも、そこで

「ねえ?あんた、何様?障害者ってそんなにエラいの?」と、

キレてくれる高畑充希氏の存在が、すごく効いているんですよ。

微妙な心持ちの観客の気持ちを

カキーン!と、場外にかっ飛ばしてくれる。

 

で、そんな彼女が、鹿野さんと関わることで

彼の魅力が観客にも理解され、

観客もなぜ彼が「わがまま」にしてるのかを理解していく。

障がいがあるからといって「すみません、迷惑かけて」というだけで生きていくのは

ナンセンスじゃないか?!

 

鹿野さんの訴えたかったことは

現代では、かなりスタンダードになりつつあることで

それを90年代に訴えていた、その意義の大きさに唸ってしまいました。

 

で、それを観客に納得させてくれたのは

やっぱり大泉洋氏だなと。

 

不遜だけど、ひとたらし。タブーと良心のギリギリのバランス。

 

この絶妙な振り子を持つのは、

たしかに大泉洋氏にしか、できなかっただろうな、と思いました。

 

 

「いい話」を超えた、一粒があり
ちょっと

フランス映画「最強のふたり」みたいでもありました。

 

★12/28(金)から全国で公開。

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」公式サイト

コメント
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