大泉洋氏、すごい。
この不遜とチャーミングの両立は彼にしかできない。
「こんな夜更けにバナナかよ」73点★★★★
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1994年、北海道・札幌市。
34歳の鹿野靖明(大泉洋)は
幼少期に筋ジストロフィーという難病を患い
いま動かせるのは首と手だけ。
人の助けなしには生きていけないのに、
彼はわがままで、ずうずうしく、まあよくしゃべる!(笑)
そして
周りには、なぜか彼をケアするスタッフが絶えないのだ。
そんなある日。
たまたま鹿野の家に居合わせた美咲(高畑充希)は
鹿野に夜中に「バナナが食べたい!」と買い出しに行かされ、
そのもろもろの無茶ぶりにあきれかえる。
「障がい者って、そんなにエライの?」
思わず、キレた美咲だったが――?!
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ほへえ、大泉洋氏、すごいじゃん!大きくはぜたなあ!と、
いえ、決して上から目線ではなく
本当に感心しました。
主人公である鹿野さんは
人の助けなしに生きられないのに、傍若無人(笑)。
彼のあまりの不遜さ、人使いの荒さに、
最初は、観客も違和感を持つと思う。
でも、そこで
「ねえ?あんた、何様?障害者ってそんなにエラいの?」と、
キレてくれる高畑充希氏の存在が、すごく効いているんですよ。
微妙な心持ちの観客の気持ちを
カキーン!と、場外にかっ飛ばしてくれる。
で、そんな彼女が、鹿野さんと関わることで
彼の魅力が観客にも理解され、
観客もなぜ彼が「わがまま」にしてるのかを理解していく。
障がいがあるからといって「すみません、迷惑かけて」というだけで生きていくのは
ナンセンスじゃないか?!
鹿野さんの訴えたかったことは
現代では、かなりスタンダードになりつつあることで
それを90年代に訴えていた、その意義の大きさに唸ってしまいました。
で、それを観客に納得させてくれたのは
やっぱり大泉洋氏だなと。
不遜だけど、ひとたらし。タブーと良心のギリギリのバランス。
この絶妙な振り子を持つのは、
たしかに大泉洋氏にしか、できなかっただろうな、と思いました。
フランス映画「最強のふたり」みたいでもありました。
★12/28(金)から全国で公開。