ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

葡萄畑に帰ろう

2018-12-13 23:58:18 | は行

 

かなり、びっくり(笑)

 

「葡萄畑に帰ろう」70点★★★★

 

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現代のジョージア(グルジア)。

ギルオギ(ニカ・タヴァゼ)は「国内避難民追い出し省」の

大臣に就任した。

 

大臣用の椅子の座り心地に

夢うつつ~になるギルオギに

首相から「強制的に国内避難民を追い出せ」と命が下る。

 

しぶしぶ避難民が暮らす地域で追い出しを行った彼は

美しい女性ドナラ(ケティ・アサティアニ)を助け、

彼女に一目ぼれする。

 

いい感じになっていく二人だが、

強制撤去が響いたのか、首相は選挙に大敗し

ギルオギは大臣の椅子を追われてしまう――。

 

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政界にも身を置いたことのある

ジョージア(グルジア)の85歳、エルダル・シェンゲラヤ監督による人生喜劇。

 

グルジアといえば、ワイン発祥の地とも言われる場所。

タイトルからワイン映画かと舌なめずりして行ったのですが(スミマセン。笑)

そうではなく

椅子が空を飛び、オウムが笑う、奇想天外なユーモアで、

政治への痛烈な風刺をする映画でした。

 

昭和っぽいというか

昔の「暮らしの手帖」世界のようなというか

クッキリパッキリした映像も、なんだか懐かしく、いい味。

 

そもそもグルジア、という国名で知られていたこの国が

ジョージア、になったのは2015年。

グルジアでは90年代から紛争が起こり、その間に大勢が強制的に家を奪われたそう。

 

国内避難民、とはそうしたなかで家を失った人々を指し、

現実に彼らは、全然縁のない土地に移住させられたりして

不自由が起こっているらしい。

 

監督はさまざまな「現状」に

やんわりと、しかしドガッと、一撃を与えたかったのでしょうね。

 

そしてそれをシビアな政治劇ではなく

寓話的で、ひょこっと楽しい、映画として示すことにしたのだなあと。

 

それにしても

グルジア文字ってお尻みたいでかわいいなあ(笑)

 

★12/15(金)から岩波ホールほか全国順次公開。

「葡萄畑に帰ろう」公式サイト

コメント
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