かなり、びっくり(笑)
「葡萄畑に帰ろう」70点★★★★
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現代のジョージア(グルジア)。
ギルオギ(ニカ・タヴァゼ)は「国内避難民追い出し省」の
大臣に就任した。
大臣用の椅子の座り心地に
夢うつつ~になるギルオギに
首相から「強制的に国内避難民を追い出せ」と命が下る。
しぶしぶ避難民が暮らす地域で追い出しを行った彼は
美しい女性ドナラ(ケティ・アサティアニ)を助け、
彼女に一目ぼれする。
いい感じになっていく二人だが、
強制撤去が響いたのか、首相は選挙に大敗し
ギルオギは大臣の椅子を追われてしまう――。
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政界にも身を置いたことのある
ジョージア(グルジア)の85歳、エルダル・シェンゲラヤ監督による人生喜劇。
グルジアといえば、ワイン発祥の地とも言われる場所。
タイトルからワイン映画かと舌なめずりして行ったのですが(スミマセン。笑)
そうではなく
椅子が空を飛び、オウムが笑う、奇想天外なユーモアで、
政治への痛烈な風刺をする映画でした。
昭和っぽいというか
昔の「暮らしの手帖」世界のようなというか
クッキリパッキリした映像も、なんだか懐かしく、いい味。
そもそもグルジア、という国名で知られていたこの国が
ジョージア、になったのは2015年。
グルジアでは90年代から紛争が起こり、その間に大勢が強制的に家を奪われたそう。
国内避難民、とはそうしたなかで家を失った人々を指し、
現実に彼らは、全然縁のない土地に移住させられたりして
不自由が起こっているらしい。
監督はさまざまな「現状」に
やんわりと、しかしドガッと、一撃を与えたかったのでしょうね。
そしてそれをシビアな政治劇ではなく
寓話的で、ひょこっと楽しい、映画として示すことにしたのだなあと。
それにしても
グルジア文字ってお尻みたいでかわいいなあ(笑)
★12/15(金)から岩波ホールほか全国順次公開。