ラース・フォン・トリアーの
甥っ子が監督。
「母の残像」71点★★★★
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高名な戦場写真家だった母(イザベル・ユペール)の
突然の死から3年。
回顧展が開催されることになり
夫と2人の息子たちが一同に集まった。
“しがない”高校教師である夫(ガブリエル・バーン)は
自分が彼女を理解できていなかったのではと思い
若くして大学教授となった長男(ジェシー・アイゼンバーグ)は
知られざる母の顔を知り
3年前から自分の殻に引きこもっている
高校生の次男(デヴィン・ドルイド)は父親と対立してしまう。
三人はそれぞれに
亡き母の“残像”と向き合うことになり――?!
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これはまた
おもしろいタイプの映画が現れた。
戦場写真家の母(イザベル・ユペール)が亡くなって3年後。
その死が「自殺だったのでは?!」というところからストーリーが始まるので
最初はミステリーかと思ったんですが
これが全然、普通の展開と違う。
夫と二人の息子、それぞれの悩める人生が描かれ
そのなかに
それぞれの心に残っている母の姿が映し出される――というイメージ。
まさに“残像”の再生のような。
最初は断片的すぎるかなあと思ったけれど
これが意外に深く、余韻が長く残る。
実際、現実のなかで
ふとしたときに人を思い出す瞬間って、こんなものだよな、とか。
そんな心のリアルが丁寧に写し取られているから
余韻が深いんだと思います。
ヴェンダース監督が
「誰のせいでもない」で提唱した
“映画のあり方”に
ちょっと近い気もしました。
★11/26(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
「母の残像」公式サイト