黒沢清監督が
フランスで撮った作品。
「タゲレオタイプの女」70点★★★★
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フランス郊外にある古い屋敷を
ジャン(タハール・ラヒム)が訪ねてくる。
出迎えたのは写真家スティファン(オリヴィエ・グルメ)。
彼はタゲレオタイプという
古い撮影方法を使っており、
ジャンはその助手として採用されたのだ。
タゲレオタイプ撮影は露光時間が長く、
その間、モデルは動くことを禁じられる。
そのモデルになっているのは
ブルーの古風なドレスに身を包んだ
スティファンの娘、マリー(コンスタンス・ルソー)だった――。
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冒頭から
不気味な屋敷、ひとりでにギーッと開くドア、
鏡に映る人影・・・
さすが匠のソフトホラー。
定番演出ながら、磨き抜かれております。
舞台はフランスだけれど
どこか「雨月物語」のような、和風を感じさせる。
誠実な青年が、次第に欲にかられていくさま。
死者の影漂う“屋敷”に囚われた
哀れな男の姿から、連想したのかなあ。
撮影にものすごく時間がかかる
特殊なタゲレオタイプ撮影を
うまく映画の題材にしている。
それは
生きている人間の「時間を止めて、写す」撮影方法であり
そうすることで「生者」が、そこに焼き付けられる。
もしかしたら、その人の死後も・・・?というのが要ですね。
「預言者」のタハール・ラヒム、
マチュー・アマルリックなどキャストも一流でした。
それにしても。
12/10公開の
「ヒッチコック/トリュフォー」に
黒沢清監督が登場し
「ヒッチコックのすごさ」を語っているのを見て
ああ、なるほどなあ、やっぱりなあと
思うのでありました。
★10/15(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国で公開。
「タゲレオタイプの女」公式サイト