ワシには
ちょっと期待したものが得られなかったかな。
***************************
「フリーダ・カーロの遺品 ―石内都、織るように」58点★★★
***************************
「100万回生きたねこ」の
小谷忠典監督が
フリーダ・カーロの遺品を撮影する
写真家・石内都さんを取材する、というドキュメンタリー。
そう、まず
フリーダ・カーロの話ではないのです。
まあそれはいいとして
映画の発端は
「100万回~」と似たアクセス方法というか
プレス資料の監督インタビューにもありましたが
まず自身がリスペクトする、年上女性にアタックし
「フリーダ・カーロの遺品を撮りに行くけど」というタイミングで
上手い具合に、撮影が始まる、という。
「100万回~」も確か
佐野洋子さんにアタックし
「あたし、もうすぐ死ぬけど」みたいな感じで
スタートしてたと思うんですよ。
ワシも同じく取材をする側の人間なので
そうみると
この監督は“もっている”人だと思う。
対象の懐に入る術に優れていることは
ドキュメンタリストとして大きな素質。
ただ、
その素質を含めた「行き当たりばったり感」が
映画をどんどん
タイトルからというか、そもそもの主題からというか
見る人が期待するものから
離していってしまう気がするんですね。
例えば
石内さんの話ならば
彼女がなぜ遺品を外で、自然光で
手持ちの、フィルムカメラで撮るのか、とか
もう少し解があってもいいのに、と思う。
出来上がった写真を見れば
その効果がわからなくもないのですが
見ている間はずっとモヤるんですよねえ。
フリーダ・カーロにも、石内さんにもそんなに近づかず、
メキシコで出会った刺繍家の女性たちや
死者の祭の様子を映していったり、流動性がある。
「100万回~」で「ん?」と思ったのと同じ部分が
まったく同じだったのが気になったんですが
まあ逆にそれが、
監督のスタイルであり
持ち味なのかもしれません。
★8/8(土)から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。
「フリーダ・カーロの遺品 ―石内都、織るように」公式サイト