ケン・ローチ風「ハート・ロッカー」?
「ルート・アイリッシュ」73点★★★★
2007年、イギリス・リバプール。
ファーガス(マーク・ウォーマック)と
フランキー(ジョン・ビショップ)は幼なじみの親友。
二人は国の兵士ではなく
民間兵としてイラク戦争に参加していた。
しかしファーガスがイギリスに帰国した後、
フランキーが現地で亡くなってしまう。
フランキーがテロの標的にされやすく
もっとも危険な道「ルート・アイシッリュ」で死んだと聞かされたファーガスは
その死に疑問を抱き、真相を調べ始める。
そこには驚くべき事実が隠されていて――?!
精力的に良作を送り出している75歳、ケン・ローチ監督。
今回はけっこうストレートなサスペンスでした。
背景にある社会性はいつも通りですが、
冒頭、粗野な振る舞いをする主人公が実は切れ者だったり、
市井派のローチにしては、彼がリッチで小綺麗なマンションに住んでいたり、
アクション要素もあったり、
ところどころに
「あれ?」という戸惑いがあるんですが
すべて計算ずく。
そんな一つ一つの驚きを積み、
「民間兵」という影の存在に光をあて、
静かな問題提起へとつなげる手腕はさすが。
ドラマとしても十分おもしろいんですが
ただイラクネタは
近年の映画でけっこう使われた素材であり、
やはり新味に欠ける部分はあります。
「ハート・ロッカー」もイメージされますが
一番印象近いのは
トミー・リー・ジョーンズ主演の「告発のとき」かな。
息子ジム・ローチの
「太陽とオレンジ」(4/14公開)もあるので
父ローチと息子ローチの相違点を見るのも
おもしろいかもしれません。
意外に父のほうが、トンガってたりしてねコレが(笑)
★3/31から銀座テアトルシネマで公開。ほか全国順次公開。
「ルート・アイリッシュ」公式サイト