メリル・ストリープがサッチャーに見える瞬間が
13秒に1回はあります。
やはりそれがスゴいなあと。
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」68点★★★☆
1979年から90年まで
英国史上初にして、唯一の女性首相として活躍した
マーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)。
首相を退いて18年。
愛する夫デニス(ジム・ブロードベント)に先立たれた彼女は、
彼の面影に語りかけ、静かに暮らしている。
そんな彼女がふと、
自らの人生を振り返る――というストーリー。
「鉄の女」が認知症を患っていると発表されたとき
少なからず衝撃だったことを思い出します。
そんな最近の彼女の様子から物語が始まるという仕様はおもしろく
単なる伝記ではない試みもいいのですが、
その分、徹底的な「回想録」というか
全体がセンチメンタルトーンに終始しているので
そこが受け手の希望に沿うかどうか、ですねえ。
生涯愛した夫とのラブストーリーと見れば
問題ないんですけどね。
番長的には
食料品店の娘から、首相に上りつめた過程など
もっと斬った張った人生を期待してたので
意外なほどあっさりしてて物足りなかった。
あの時代から
「人は誰しも自分の足で立つべきです!」と
主張した彼女の意識には大賛成!なので
もっと鉄の女っぷりが見たかった、というのが
正直なところ。
彼女を突き動かしていたモチベーションの素が
実際のところ何だったのか、とか
もっと「彼女自身」の物語を
想像でかまわないから、クリエイトして欲しかった。
全体的に「カッチリ」しすぎというか。
「英国王のスピーチ」にも同じような感じを受けたので
あれが好きな方はいけるかも。
ともあれ
本作で3度目のオスカーを手にした
メリル・ストリープは確かにすごい。
「ん?」と目をこすりたくなる
モーフィング(ある物体がある物体に自然に変わっていくあのCG)のように
サッチャーに見える瞬間が多々あり、
しかもそっくりさんではない、
もう「憑依」って感じの化け方が、化け物だなあと思いました。
★3/16からTOHOシネマズ日劇ほか、全国で公開。
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」公式サイト