ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ブラック・スワン

2011-05-07 19:25:04 | は行

ようやく公開だ!
待ち遠しかったな~~


「ブラック・スワン」88点★★★★


プリマの座をめぐる女のドロドロ劇……?なんて
予想を遙かに超えてきました!

ここまで女の“性心理”を
あぶり出した作品はなかったのでは?

以下、ネタバレはしてませんが、
楽しみたいかたは
予備知識ナシでぜひ。



ニューヨーク・シティ・バレエ団のダンサー
ニナ(ナタリー・ポートマン)は、
真面目な優等生タイプ。

元ダンサーだった母親の
熱烈なサポートを受け、
確かな技術力を持つダンサーとして認められている。


そんなニナが夢にまで見た
「白鳥の湖」のプリマ候補になった。


なんとか主役の座を射止めたい!と
オーディションに挑むニナだが、

彼女には思わぬ障害があった。

純粋で可憐なニナの踊りは
白鳥にはピッタリだが、

この役は邪悪な黒鳥も演じなければならない。

そう、
新人ダンサー、リリー(ミラ・クニス)のような
官能的な表現ができなければならないのだ。


悩んだニナは、
芸術監督ルロイ(ヴァンサン・カッセル)のオフィスを訪れて
アドバイスを請うが―――。



テレビスポットもガンガン流れているので
予想つく方も多いと思いますが、

これ、相当にホラーです。


綿密に計算された演出のなか、
めちゃくちゃ感情が揺さぶられ、
ものすごい衝撃です。


前作「レスラー」も最高だったけど、
ダーレン・アロノフスキー監督という人は
本当にタダモノではないですね……。

人の心に働きかける方法が
「これでもか!」と執拗で、的確!(苦笑)

そして俳優を
「これでもか!」とまあ、いたぶるいたぶる(苦笑)


そんな要求に応え、
アカデミー賞主演女優賞に輝いた
ナタリー・ポートマンの気迫の演技は
言うまでもありませんが、


緊張と不安をあおりまくり、
かつバレエの壮麗さを表現する
映像に圧倒されました。


でもやはり番長が
一番、揺さぶられたのは
ダンサー、いやアスリートとも言っていいですが、

その表現のため
極度の試練や自己犠牲を払っているであろう人々に

私生活、
ひいては「性」の問題を突きつけたところですね。


え、それって
けっこうタブーじゃん?という。


バレエ街道まっしぐらに
精進してきたニナに

「うーん、これを演じるには
経験やエロさが足りないんだよナー」なんて

なんと残酷な話じゃありませんか!


才能の開花を阻むのが
自分自身であることのジレンマと焦り。


主人公の性的なものへの嫌悪感、
そのことによる劣等感が
あぶり出される様子が、

ホント執拗に描かれていて
怖い。

ニナはその壁を
乗り越えられるのか―――?!

ぜひ劇場でご覧ください。

でも、デートには正直、
向かない気がしますハイ(笑)


★5/11から全国で公開。

「ブラック・スワン」公式サイト
コメント (2)
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