これも主人公に
“寄り添う感覚”が起こる映画だったなあ。
それゆえに、伝わるものが深いんです。
「サラエボ、希望の街角」79点★★★★
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都、
サラエボで暮らす
客室乗務員のルナと恋人のアマル。
二人は15年前の
ボスニア紛争を経験した世代で
心に傷を負っているが
いまの生活ぶりは現代っ子そのものだ。
だが、あるとき
アマルが職を失ってしまう。
人生に迷い始めたアマルは
やがて
厳格なイスラム原理主義グループに
加わるようになり――。
サラエボ出身の女性監督、
ヤスミラ・ジョバニッチ(36)の2作目。
ボスニア紛争を
詳しく知らなくても
現代を生きる
若者のドラマから
「そこで、何が失われたのか」
「いま、何が起こっているのか」を
自然に理解させ、共有させる
相当にすご腕の監督です。
はじめは美人スッチーと
その恋人の日常が
日記をめくるような自然さで
書き表されていくんですよ。
スタイリングも映像の感性も
オシャレで若々しい。
さらに映画が
主人公ルナの
肌のアップから始まったせいなのか
それこそ
便座に座ってるような
プライベートシーンまであるからなのか
呼吸のたびに波打つ彼女の胸の
上下運動まで共有しているような
“寄り添う感覚”がある。
だから
彼女と恋人の間に
不協和音が響き始めると
彼女が感じる違和感や
「うわ、どうしよう?」的困惑が
まるで自分の皮膚があわ立つように
同調して感じられるんです。
そうした身体的シンクロから
彼女の「戦争の傷」も
こちらに伝わってくる。
ちょっと珍しい導かれ方でした。
女性監督ならでは、とも言えますが
でも女性ばかりでなく
男性も十分、共有できると思う。
彼氏アマルの心情も
すごくよくわかったから。
暴力的なラップよりも
澄んだ声のコーランが
実際、心に響きましたからね~。
「ああ、そっちに行くのも
わかるわ……」という。
西洋化とイスラム。
自由と規律。
男と女。
どっちが正解、ではないからこそ
相容れない事柄がある現実を
深く感じさせる映画でした。
なぜ
ウ○チをする場面があったのかにも
ちゃんと理由があるんですねえ。
で、
本日発売の『週刊朝日』(2/25号)ツウの一見で
サラエボ出身の歌手・ヤドランカさんに
お話を伺ってます。
実際、いまサラエボでは
宗教に傾倒する若者が増えているんだそう。
なぜそうなるのか
ヤスミラ監督が何を伝えようとしているのか
この映画の「ツボ」を
非常に明確に教えてくださってます。
ぜひご一読を☆
★2/19から岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。
「サラエボ、希望の街角」公式サイト
“寄り添う感覚”が起こる映画だったなあ。
それゆえに、伝わるものが深いんです。
「サラエボ、希望の街角」79点★★★★
ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都、
サラエボで暮らす
客室乗務員のルナと恋人のアマル。
二人は15年前の
ボスニア紛争を経験した世代で
心に傷を負っているが
いまの生活ぶりは現代っ子そのものだ。
だが、あるとき
アマルが職を失ってしまう。
人生に迷い始めたアマルは
やがて
厳格なイスラム原理主義グループに
加わるようになり――。
サラエボ出身の女性監督、
ヤスミラ・ジョバニッチ(36)の2作目。
ボスニア紛争を
詳しく知らなくても
現代を生きる
若者のドラマから
「そこで、何が失われたのか」
「いま、何が起こっているのか」を
自然に理解させ、共有させる
相当にすご腕の監督です。
はじめは美人スッチーと
その恋人の日常が
日記をめくるような自然さで
書き表されていくんですよ。
スタイリングも映像の感性も
オシャレで若々しい。
さらに映画が
主人公ルナの
肌のアップから始まったせいなのか
それこそ
便座に座ってるような
プライベートシーンまであるからなのか
呼吸のたびに波打つ彼女の胸の
上下運動まで共有しているような
“寄り添う感覚”がある。
だから
彼女と恋人の間に
不協和音が響き始めると
彼女が感じる違和感や
「うわ、どうしよう?」的困惑が
まるで自分の皮膚があわ立つように
同調して感じられるんです。
そうした身体的シンクロから
彼女の「戦争の傷」も
こちらに伝わってくる。
ちょっと珍しい導かれ方でした。
女性監督ならでは、とも言えますが
でも女性ばかりでなく
男性も十分、共有できると思う。
彼氏アマルの心情も
すごくよくわかったから。
暴力的なラップよりも
澄んだ声のコーランが
実際、心に響きましたからね~。
「ああ、そっちに行くのも
わかるわ……」という。
西洋化とイスラム。
自由と規律。
男と女。
どっちが正解、ではないからこそ
相容れない事柄がある現実を
深く感じさせる映画でした。
なぜ
ウ○チをする場面があったのかにも
ちゃんと理由があるんですねえ。
で、
本日発売の『週刊朝日』(2/25号)ツウの一見で
サラエボ出身の歌手・ヤドランカさんに
お話を伺ってます。
実際、いまサラエボでは
宗教に傾倒する若者が増えているんだそう。
なぜそうなるのか
ヤスミラ監督が何を伝えようとしているのか
この映画の「ツボ」を
非常に明確に教えてくださってます。
ぜひご一読を☆
★2/19から岩波ホールで公開。ほか全国順次公開。
「サラエボ、希望の街角」公式サイト