パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

あの手この手

2007-12-12 22:19:37 | Weblog
 「行方不明の年金は、やっぱり見つかりそうにありません」って、何を言っているのだろう。しかも、重要閣僚の二人が口を揃えて。福田首相もふくめれば、はっきりと、内閣の意志として、表明したことになる。とすると、単に、「正直」とか、「ついうっかり」とか、そういう問題ではない。「大連立」で、年金問題を自治労が支持母体だという民主党に丸投げして、一緒につぶすつもりだろうか。私だったら、そうするけど…。

 『文芸春秋』を立ち読みして、役人のものすごい「お手盛り制度」に仰天した。中でも驚いたのが、「困難手当」と「独身手当」だ。「困難手当」というのは、昇進できず給料が低いままの役人のために用意された手当だそうで、「困難」とはつまり、「昇進困難」という意味だ。もちろん、実際に「昇進」した場合より高い給料になる、なんてことはないのだろうが。

 で、「独身手当」というのは、普通、結婚するとお祝い金が出るわけだが、この制度(?)のもとでは、独身のままの人は不公平を強いられることになるので、たとえば、40歳なら40歳を一つの目安として、この歳を迎えて独身のままの人に支給される「手当」なんだそうだ。

 う~ん。よくぞまあ、あの手この手を考えるものだ。多分、当人たちは、「当たり前」と思っているんだろうけれど…。でなければ、考えつかないし、実行にも移せないだろう。もっとも、さすがに、上記のような「トンデモ手当」は、今はないそうだが、記事によると、廃止されたのは2007年。…ん? 今年じゃないか!

 昨日、Sさんから、久しぶりに、同じ頭文字なのだが、某県の役人(というか、その周辺の人という感じでもあるのだが)であるS氏糾弾の「怪文書」の製作を頼まれた。「怪文書」といっても、書かれている人からは、そう見えるだろうというもので、Sさんにしてみれば、正当な「糾弾」なのである。実際、つい最近、県議会で、私の作った怪文書をネタ源に、「S氏問題」が取り上げられ、「コテンパンですわ、うわっはっはっは~」と、Sさん、会心の豪傑笑い。
 まあ、実際、Sさんの調査が正しければ、S氏はトンでも役人である。たとえば、豪華な自宅を知人に貸し、自分は、県所有の、これまた豪華な(写真つきで記事にしたのだ)家に、家賃は県負担、つまり、タダで住んでいる。自宅からあがる家賃はまるまるいただき、というわけだ。その上、給料以外に、毎月の時間外手当をとっているのだが、その額が31万円! Sさん曰く、「そもそも幹部職員は、給料に時間外手当も含まれているのが普通だ」と。確かにそうだ。

 しかし、いったいなんで、ここまでして金を貯めたいのか。知人に貸しているというS氏の家の写真を見せてもらったが、多分、親から引き継いだものだろうが、総2階建てで、実に立派。現在、実際に住んでいる家もそこそこ大きいのだが、自分の持ち家の方が格段に立派だった。
 もしかしたら、この人は、自分の住むところは、4畳半一間の安アパートでもいいのかもしれない。4畳半で暮らした我慢の報酬=持ち家からあがる家賃、ということで納得できるからだ。(喜劇映画ができそうだ)

 …しかし、実際の話、よく考えると、「労働」と「賃金」の関係なんて、こんなものかもしれない。つまり、「我慢」したご褒美が、「報酬」つまり、「賃金」なのだ。実際、S氏が、住居のクロス住み替えで上げた利益は、県による家賃全額負担の是非は別として、法的には問題ないらしいし。
 また、私は、S氏から頼まれて、猛スピードで、怪情報を載せた印刷物を作った。もちろん、前述したように、役人Sの行状は非難さるべきものであって、私は、心理的に何の負い目も感じてはいないけれど、これだって、抽象的に考えれば、今日一日を費やした「我慢」の対価として、私は、Sさんから報酬を受け取るのだ、とも考えられる。

 実は、「こんなんでいいんですか?」というのが、左派ベーシックインカム論者の主張なのだ。つまり、「我慢の対価」ではなく、「生きる対価」として、我慢(=労働)とは無関係に、最低限の収入が与えられてしかるべきであり、それがベーシックインカムだというわけだ。

 しかし、こんなことを言うと、「一般人」に猛烈に反発されると、左派論者は嘆いていた。そりゃそうだろうと、私も思う。私自身は、フリードマン由来の右派とはいえ、ベーシックインカム論者であることには変わりないので、「生きる対価」という左派のロマンチック…いや、そうじゃないな、なんだろう…な言い分に、「一般人」のように無闇に反発はしないけど…でも、フリードマンのように、ベーシックインカム(負の所得税)を導入すれば、福祉なんて役人のためにあるものだから、全廃したって全然問題ない、という言い方の方が分かりやすいはずだ。

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