パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

死体損壊と器物損壊

2009-02-18 18:53:00 | Weblog
 星島被告無期懲役。

 裁判長曰く、「死体を損壊したことを過大に評価する訳にはいかない」ということらしい。

 「過大に評価できない」という表現がミソなんだろうけど、でも、機械はコンセントを引っこ抜けばすぐにストップするが、人間は、そのへんどうなっているかわからない。

 裁判長はそのへんの事を考慮して言葉を選ぶべきだと思う。

 もっとも、この問題を考慮し過ぎると、臓器移植なんか、論外ということになってしまうが、要するに「表現力」の問題だ。

 なんでもかんでも、「自己中心的犯罪でどうのこうの」ばかりなのは、阿呆かと思う。

 問題は、有罪か無罪か、量刑がどれくらいかであり、それにくっついてくる言葉なんか二の次だろ、という意見もあるかもしれないが、その量刑にどういう言語表現がついてくるかというのは、人間である限り、結構気になると思うのだ。(憲法だって、大事なのは「前文」なわけだし。)

 というのは、随分昔の話だが、アパートの隣の住人がちょっとおかしいやつで、アパートの大家の飼っていた犬が自分に吠えるのを怒って、大家に向かって「犬を殺したって器物損壊だからな」と怒鳴るのだ。

 それが、「器物損壊」の「キブツソンカイ」という「音」に自己陶酔しているような言い方で気味が悪かったが、その後、酒鬼薔薇がトンカチで少女を殴って死亡させたのを、「人間がどれくらい壊れ易いか試したかった」と言った時、即、この隣人を思い出した。

 ともかく、裁判官たるもの、人の心に届く言葉を言ってなんぼの商売だと思うのだが、そんなことに気を遣っている裁判官は、今の日本にはゼロと思われるのが残念だ。

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