活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

トヨタ、集団訴訟で崩れる王国

2010-02-03 22:13:13 | Weblog
人を大切にしない企業は必ず衰退する運命をたどる。それがトヨタでないことを願う。低コスト、高効率を追求する「かんばん方式」は人間の尊厳に深く立ち入ることから、精神や肉体を拘束し蝕む。これにより人間は自由を奪われ、ロボット化して士気は限り無く低下する。士気の低下は製品の低下につながる。

トヨタは1円でも多く儲けたい企業集団である。利益貢献に汗した労働者に報いることをせず、なにも汗を流さない株主・資本家に1円でも多く配当することにだけ没頭する「罰当たり企業」として見られる。

リーマンショックではいち早く非正規社員を解雇した。豊富な内部留保金を僅かばかり取り崩すだけで、解雇を避けることは可能であった。「我慢の経営」を忘れて馘首するトヨタに、クルマを作ったり、販売する資格まで問われていた。このことでは日本経済を「我が物顔」で支配していたトヨタ首脳陣に反省はみられない。

日本国内の問題だけでなく、海外においても同様事例に事欠かない。米GMとの合弁会社「NUMMI」はGMの破産に伴い、トヨタが操業を継続することで、4600人の従業員の雇用確保ができたものを、あっさりと工場閉鎖を決め、全員を解雇した。

シュワルツェネッガー知事は従業員のほか、部品メーカーなどで働く約3万人が失業するとの試算をまとめ、社長の豊田章男に工場の存続を求める書簡まで送っていたにもかかわらずであった。打算だけで動き全般を見渡すことのできない、首脳陣が雇用責任を放棄したことで、後に大きな影を落とすことが心配された。09年8月のことである。

関連付けることは早計だが、09年後半からのアクセルペダルの不具合問題は米国のみならず欧州、中国に波及。リコール台数は1000万台に近いという。これほど大規模な不具合は聞いたことがない。販売に深刻な打撃を与えること必至だ。

全米各地ではトヨタ車のユーザーらが不具合問題で、損害賠償請求の訴訟が相次いでいるという。急加速する原因はアクセルペダルではなく、電子制御システムそのものに欠陥があるというから、早急な対応もしなければいけない。

リコールや裁判騒ぎで首脳陣の思考回路はパニック状態であろう。雇用問題で世論を敵に回したトヨタであるが、経営の原点は人間であり、粗末にすれば逆風が待ち受けること、心して経営に当たることだ。社会的責任を喪失した企業に、繁栄や安全は絶対にありえないからだ。