Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

検証・法治国家崩壊 その2

2014-08-05 10:16:36 | 読書ノート

憲法第76条は、裁判官の独立「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」を定めています。

一方検事は、東京地検特捜部の検事はエリートコースを歩んでいると言われ、そもそも東京地検特捜部はGHQ(連合国軍総司令部)の肝入りで出来た組織(旧日本軍の隠匿された軍需物資を接収し進駐軍に差し出す)のため、検察庁全体の親米(親CIA)の源であり、現在も生みの親、育ての親の「ポチ」と考えています。


「検証・法治国家崩壊」(吉田 敏浩、新原 昭治、 末浪 靖司 創元社)
創元社の「戦後再発見」双書は丁寧な取材に裏付けられており、時間潰しのつもりが気付くとのめり込ませる質があります。
サブタイトルに「砂川裁判と日米密約交渉」とあり、購入し目を通しました。

砂川基地闘争に係る伊達判決(敗戦後の占領された日本の真の独立のため、在日米軍駐留は違憲とした)を、外務省、検察、マッカーサー米駐日大使(国務省等)、そして田中耕太郎最高裁長官の共謀により葬った結果、在日米軍は治外法権(実質的に)を獲得した経緯が、米国の解禁機密文書をもとに書かれています。

最高裁において検察側と弁護側との主張は対立しており、憲法学者長谷川正安は「安保法体系」と「憲法体系」との対立であると提唱(90P~)。
田中耕太郎最高裁長官は「憲法体系」により身分、職権、職務等の法的根拠が定められていますが、「砂川事件最高裁判決」において自らの法的根拠である「憲法体系」を踏み躙り「安保法体系」を優位とする画策と判決をしました。

前回書きました法律にど素人にも気付く「矛盾」について、『判決の根本的矛盾』(130Pから)に論理的に詳細に書かれています。裁判官15人全員が同じ判断(少数意見なし)をしたことが奇妙奇天烈としか言いようがありません。(さて、何があったのか?)

田中耕太郎最高裁長官は、「砂川事件最高裁判決」をするためにマッカーサー米駐日大使(国務省等)と3回協議をしています。このことからも「憲法体系」(憲法第76条)を毀損しています。

第二次台湾海峡事件(1958年)において、在日米軍(横須賀、厚木、岩国、横田から出動 これらは新聞報道済み)は台湾海峡に大規模に出動展開しました。
弁護側は台湾海峡事件の実例をあげ、日本が直接関係の無い武力紛争にまきこまれ、日本国憲法の精神に反すると主張をしました。
米国の検察ポチと外務省は、反論に窮し弁論、審理に不利にならないように、生みの親、育ての親であるマッカーサー米駐日大使(国務省等)にどのように反論すべきか回答を求めています。
マッカーサー米駐日大使(国務省等)の回答は「安保条約のもとで日本に出入りしている部隊ではない」の虚偽の内容であり、検察ポチはそのように弁論しました(99P~)。

「砂川基地闘争の最高裁判決」の論理「統治行為論」は、その後の憲法判断を求める訴えに対して、権力側に万能薬の効果をもたらし、その反面「裁判官」の「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」理念は空文化しました。

本書のタイトルのとおり「砂川事件最高裁判決」は「法治国家を崩壊」させました。


検証・法治国家崩壊 その1

2014-08-03 10:01:47 | 読書ノート

昔日、妹が読んでいた「青春の門 放浪編」(多分?)を時間潰しに読み、初めて砂川基地闘争について知りましたが、ただそれだけのことでした。

改めて、一連にアップしました「集団自衛権」絡みで、砂川基地闘争の最高裁判決(「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反被告事件」 昭和34年(あ)七710号 同12月16日大法廷判決)に目を通しました。

同判決文において「違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、従って、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のもの」として一審の東京地裁「伊達判決」を「原判決を破棄する。本件を東京地方裁判所に差し戻す。」(主文)としました。

しかし、同じ判決文の中で「アメリカ合衆国軍隊の駐留は、憲法9条、98条2項および前文の趣旨に適合こそすれ、これらの条章に反して違憲無効であることが一見極めて明白であるとは、到底認められない」と、憲法判断し「合憲」としています。

別の事件の判決文に書かれているのなら理解できるのですが、法律にど素人にも気付く「矛盾」(米軍駐留は司法審査権の範囲外のもので違憲審査はできない:米軍駐留は憲法9条、98条2項および前文の趣旨に適合)が、一つの判決文に堂々と書いてあることが不可解でした。

最高裁判例は判例法として機能(安定性の担保)し、下級審(高裁、地裁、家裁)は最高裁判例に拘束されます。


以前取り上げた「絶望の裁判所」 (瀬木 比呂志 講談社現代新書)において、著者自身が最高裁に所属していたこともあり、最高裁判例により裁判官を「ヒラメ判事」として管理していることが述べられており、最高裁事務総局を批判しています。

恵庭事件の舞台となった 北海道大演習場(島松地区)北端の島松山頂上にあるミサイルサイト(Google Mapsより)
以前この施設にカメラを向けた時、自衛官より丁寧に「写真は撮らないで下さい。」と言われ断念したことがあります。乱暴な言葉なら自分の「地」が出たと思います。