Retriever Legend's blog

散歩好き、本好き、惰眠好き、犬大好きの彼(旦那)の戯言を僕が代弁します。

哲学者とオオカミ その2

2010-07-05 06:15:52 | 読書ノート
著者のスタンスが48Pに、書かれています。

人間にとってのみ実存が本質に先立ち、オオカミの本質はオオカミの実存に先立つ、ことに疑問を呈しています。(48Pの主旨)

これは、実存主義を齧ったことのある方なら本書のテーマが何かお分かりだと思います。

このような一般的観念の根底には、人間の驕りそのものがあると。

サル(=人間)の邪悪性とオオカミとの日常を論じ、人間が犬を愛するのは、人間がサルになる前の、私達が持っていたもの(失ってしまったもの)を思い起こさせるためと考えています。

人間にオオカミのもつ存在の尊厳とサルの邪悪性(計算高い)を見ており、自らの内面的葛藤を赤裸々に書いており(哲学者ゆえ?)、構造主義の考え方が基底に読み取れ、自分と向き合うことがどのようなことなのか、具体的に分かりやすく書かれています。

「時間」の捉え方は、著者とは異なりますが、第8章「時間の矢」は、秀逸な論考となっており、この章だけでも本書を読む価値があったと考えます。


著者とブレニン(「哲学者とオオカミ」 マーク ローランズ 白水社)


メモが果てしなく増殖しだしたので、端折ります。