Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Landscape40. 山陽路・成和町吹屋2

2008年03月11日 | field work
 吹屋の集落から急傾斜の棚田が続く山合を1時間ほど歩くと、広兼邸がある。中国地方は急傾斜地が多いため、石垣を築きその上に母屋を建てる建築様式は、この地方を歩くとよく見かける。そうした民家建築の中で、江戸末期に建てられた広兼邸は群を抜く規模を擁する。広兼家は、防腐剤である紅殻の材料であり、この地域で産出される銅からローハを製造し、大きな財をなしてきた。
 石垣沿いのアプローチと小さな桜門、左側の長屋のプロポーションは、大変美しい量感であり秀逸である。桜門をくぐると、低い土塀沿いを主動線とし、これに対し母屋、土蔵、長屋等の群建築が配置されるといった明快な空間構造を持っている。今に伝わるその姿は、我が国の民家建築でも群を抜く。
 桜門を正面に見て、左側の長屋は、使用人や家畜の空間であり、諸作業に使われていたことが伺える。 門の右側が主の空間であり、幾つかの母屋が連なる。 写真の左から右に行くほど、この家の重要度、格式、地位が増し、最奥には蔵が設けらるといった具合に、実に明快なヒエラルキーを持った空間構成である。そして僅かばかりの敷地を利用し、庭園が設けられている。低い土塀越しに老年期の中国地方の風景を借景としているのだろう。こうした往事を今に伝える風景は、これまで日本映画の舞台となったことでも、知られている。
 
Canon EOS Kiss Didital  F3.5-5.6/EF18-55mm
Canon EOS3,EF F3.5-5.6/28-135mm
エクタクローム,CanoScan.
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